タイトル |
早生・短稈で多収の麦味噌用裸麦新品種「長崎御島」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 西日本農業研究センター |
研究期間 |
2008~2016 |
研究担当者 |
吉岡藤治
土谷大輔
下山伸幸
段口貴大
髙橋飛鳥
柳沢貴司
長嶺敬
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発行年度 |
2016 |
要約 |
長崎県と共同育成した六条裸麦新品種「長崎御島」は、「御島裸」と比較して、出穂期で7日、成熟期で5日程度の早生で、短稈で倒伏に強く成熟期の稈の折れが少ない。整粒歩合が高く多収である。精麦品質は類似しており、麦味噌原料に適する。
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キーワード |
ハダカムギ、半数体育種、早生、短稈、耐倒伏性、麦味噌
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背景・ねらい |
長崎県において作付けされている裸麦品種「御島裸」は、味噌加工適性に優れ高級味噌原料用として実需者からのニーズが非常に高いが、晩生で、長稈で倒伏しやすく、収量が不安定であることから栽培面積は減少の一途をたどり、需給のミスマッチを生じている。実需者が求める品質の麦味噌原料を安定的に供給するために、「御島裸」の味噌加工適性を維持しつつ栽培上の特性を改善した裸麦品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「長崎御島」は長崎県と西日本農業研究センターの共同研究で育成した渦性の六条裸麦である。「御島裸」並みの麦味噌加工適性を持ち、その生育特性を改良した裸麦を育種目標として、「御島裸」を母に、「イチバンボシ」を父として交配を行い、バルボッサム法による半数体育種で早期固定を図り、生育特性に加え、実需者による精麦品質や麦味噌適性評価によって選抜してきたものである。
- 播性程度はVで、「御島裸」より出穂期で8日、成熟期で4日程度早く、ともに「イチバンボシ」より1日程度遅い早生である(表1)。
- 稈長は「イチバンボシ」と同等で、「御島裸」より15cm程度短く耐倒伏性が優れる(表1)。またこれまでの栽培試験において、「御島裸」のような成熟期の稈の折れ(中折れ)は認められていない。
- 収量性は「イチバンボシ」と比較するとやや低いが、「御島裸」より2割程度多収である(表1)。
- 千粒重は「御島裸」よりやや重く、整粒歩合は約10ポイント高いが、ともに「イチバンボシ」と比べると低い(表1)。
- 原麦の外観品質が良い(表1)。
- 穀粒硬度・60%搗精時間・砕粒率は「御島裸」に近く、やや硬質である。精麦白度は「イチバンボシ」並に高い(表1)。
- 麦味噌加工における麹特性は「御島裸」とほぼ同等である。熟成味噌の物性は"かたさ"が硬く"付着性"が低い傾向にあるが、それ以外の項目はほぼ同等である(表2、図1)。味噌食味試験の総合評価は「御島裸」と同等である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:裸麦生産者、精麦会社・麦味噌会社など大麦加工事業者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:長崎県で2017年度に奨励品種採用予定で、五島市など長崎県内の裸麦作付け地帯において「御島裸」代替品種として200haの作付けを図る。
- その他:生育時の諸条件によっては倒伏する危険があるので、極端な多肥栽培は避ける。うどんこ病・赤かび病には強くないので、発生が懸念されるときは適期防除を行う。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/warc/2016/16_021.html
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カテゴリ |
病害虫
育種
うどんこ病
大麦
加工
加工適性
新品種
はだか麦
品種
防除
良食味
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