タイトル |
東北・北陸地域に適するタマネギの春まき夏どり作型 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2011~2016 |
研究担当者 |
山崎篤
山崎浩道
片山勝之
横田啓
福田拓斗
山崎紀子
古野伸典
西畑秀次
浅井雅美
三室元気
守川俊幸
前田智雄
佐藤 喬
奥野善久
木下貴文
塚崎光
池田裕樹
松尾健太郎
山本岳彦
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発行年度 |
2016 |
要約 |
東北および北陸地域におけるタマネギの春まき夏どり作型の開発により、これら地域での生産性が慣行の秋まき作型より向上し、端境期出荷も可能となる。公表した栽培マニュアルから、適品種選定等栽培技術情報を入手できる。
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キーワード |
タマネギ、春まき、夏どり、端境期、水田転作
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背景・ねらい |
東北・北陸地域では、水田転作品目として機械化体系が適用できるタマネギ栽培が注目されている。しかし、これらの地域で慣行の秋まき栽培では、越冬時の障害や病害あるいは融雪時の湿害等によって生産性が不安定となるため、収量も低く栽培面積の拡大には至っていない。そこで、これまでの技術を見直し、越冬させない春まき夏どりの作型を開発して生産安定性および収量を向上させるとともに、国産タマネギの流通量の少ない7、8月の端境期出荷を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 開発した春まき夏どりの作型は、1月中旬~2月中旬に播種後無加温ハウスで育苗、4月に定植し、7月上旬~8月中旬に収穫する(表1)。本作型の収穫時期は、本州・九州産と北海道産が流通する間の端境期となる。
- 秋まき用中生~晩生品種の中から各地域の気象条件にあった適切な品種を選択する。秋まき用品種では、播種・定植時期が早いほどりん茎重が大きくなり収量が増加する傾向が強い(図1)。推奨される播種時期は、北東北では2月中旬、南東北および富山では1月下旬である。早生の品種ほど播種・定植の遅れによる収量低下が著しい。
- 育苗用培養土に肥効調節型肥料を重量比2%程度施用することで、育苗期後半の追肥作業が不要となり、定植後のりん茎重も大きくなる(図2)。
- 岩手県および富山県における畑地や水田での現地実証では、収量4t/10a以上の事例が得られている(表2)。
- 公表したマニュアルでは、上記のほか、圃場準備、施肥、水分管理、雑草・病害虫管理、収穫時の取り扱い、内部品質などについて記載されており、ホームページや冊子体で情報を入手できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:東北・北陸地域でタマネギを生産しようとする農業者・指導機関等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:東北・北陸地域および北関東・信越地方の一部で、2016年度の栽培実績として約20ha作付、今後数年間で200ha程度に拡大すると見込まれる。
- その他:・本圃での在圃期間が約3か月と短く、後作に秋冬野菜等との輪作体系が可能である。育苗や収穫後の乾燥に水稲育苗ハウスが有効活用でき、排水性の良い水田における転作品目としても有望である。
・本作型用としては、「ターボ」、「ターザン」、「オーロラ」、「ネオアース」、「もみじ3号」、「ケルたま」、「マルソー」等、細菌性腐敗病害の発生が少ない品種の実績がある。 ・育苗用培養土への肥効調節型肥料混用の効果は、培養土の肥料成分量や育苗床の温度条件などにより影響を受けるので注意が必要である。また、本圃では慣行の秋まき作型と異なり高温多湿期の栽培となるので、細菌性腐敗病害やネギアザミウマなどの病害虫防除に注意が必要である。それぞれ関係機関の指導を受けることが望ましい。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/tarc/2016/16_002.html
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カテゴリ |
病害虫
肥料
育苗
害虫
乾燥
機械化体系
栽培技術
雑草
湿害
出荷調整
水田
施肥
たまねぎ
ねぎ
排水性
播種
病害虫防除
品種
輪作体系
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