米麹を利用したノングルテン米粉パンの製造法の汎用性の向上

タイトル 米麹を利用したノングルテン米粉パンの製造法の汎用性の向上
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター
研究期間 2013~2017
研究担当者 荒木悦子
鈴木保宏
梅本貴之
鈴木啓太郎
濱田茂樹
発行年度 2017
要約 米麹のプロテアーゼ活性を利用して製造するノングルテン米粉パンの製造技術の汎用性と品質の向上を図るため、生地に添加する米麹やプロテアーゼの種類や量の調節、パンの膨らみや気泡の細かさを阻害しない副材料の選定、アレンジパンの提案を行う。
キーワード ノングルテン米粉パン、米麹、米粉、グルテンフリー、プロテアーゼ
背景・ねらい 米粉の消費拡大、および小麦アレルギーやセリアック病患者に対応した食品開発のニーズは高い。これまでにグルテンや増粘多糖類等を使用せず、米麹を用いて製造するノングルテン米粉パンの製造技術(麹等カビによる前発酵行程を含む米粉パンの製法(特許第5713255号))を開発した。この製法で製造したパンは独特の香り、あるいは固いといった欠点があった。この技術の汎用性とパンの品質向上を目指し、パン生地に添加する米麹やプロテアーゼの種類や量の検討、副材料の選定、アレンジパンやアレンジメニューの開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 米麹を利用して作るノングルテン米粉パンの製造は、「麹等カビによる前発酵行程を含む米粉パンの製法(特許第5713255号)」を基本技術としており、米粉、米麹、水を混合したパン生地の作成、生地の加熱・保温(45~55℃、5~15時間)、イースト発酵、焼成の工程を含む(図1)。米麹の代わりに食品添加用プロテアーゼ製剤を用いて作ることも可能であり、どちらを用いても食感は大きく変わらない。
  2. プロテアーゼ活性による米粉のタンパク質の部分分解、およびパン生地を45~55℃で5~15時間保温することにより生地の粘度が高くなる。粘度が高いパン生地はイースト発酵で生じたガスを保持できるため、グルテンを加えなくても気泡構造をもつ膨らんだパンが製造できる(図2)。
  3. 食品添加物用プロテアーゼ製剤を使用する場合、最適添加量の添加により、各種のプロテアーゼ製剤で膨らみがよく、気泡の細かいパンを作ることができる(図3)。米麹の場合も同様に添加量の調節により、種々のメーカーの米麹が使用可能である。
  4. パンの膨らみや気泡の細かさを阻害しない副材料や具材料の添加、あるいはパンの調理により、ノングルテン米粉パンの品質を向上できる(例:油脂の添加による軟らかさや風味の向上、パンの加熱調理による食感の変化)。それらのノングルテン米粉パンアレンジパンは、パンフレット「米粉と米麹で作るノングルテン米粉パン―米粉パンを美味しく食べる」で紹介している(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. この製法には、粒子が細かく、デンプンの損傷度が小さい米粉が適している。また、中程度のアミロース含量(15-20%)の米から調整した米粉を用いるとパンの膨らみがよい。
  2. パンフレット「米粉と米麹で作るノングルテン米粉パン―米粉パンを美味しく食べる」は、希望者に配布可能である。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nics/2017/nics17_s02.html
カテゴリ 小麦 消費拡大

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