LC-MS/MSを用いた大豆タンパク質β-コングリシニンα、α ?およびβサブユニットの定量法

タイトル LC-MS/MSを用いた大豆タンパク質β-コングリシニンα、α ?およびβサブユニットの定量法
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 食品研究部門
研究期間 2016~2018
研究担当者 一法師克成
若木学
橋本直人
石川祐子
発行年度 2018
要約 液体クロマトグラフタンデム質量分析装置(LC-MS/MS)と安定同位体標識内部標準ペプチドを用いることで、大豆の機能性タンパク質β-コングリシニンを構成するα、α ?およびβサブユニットを分別定量できる。
キーワード β-コングリシニン、サブユニット、大豆、LC-MS/MS、安定同位体標識内部標準ペプチド
背景・ねらい 大豆のタンパク質であるβ-コングリシニン(図1)は、血中中性脂肪低下作用を有することから、これを関与成分として含む特定保健用食品が上市されている。β-コングリシニンはα、α ?およびβと呼ばれる3つのサブユニットから構成され、いずれも類似したアミノ酸配列を有するコア領域を持つが、βサブユニットはコア領域のみであるのに対し、αとα ?サブユニットはコア領域のN末端側に類似したアミノ酸配列を有するエクステンション領域を持つ。
α ?サブユニットは他の2つに比べて、前述の機能性が高いこと(Trends Food Sci. Technol. 18:454-463)、また、加工特性としての加熱会合性などがサブユニットにより異なること(大豆たん白質研究1:19-24)も報告されている。しかし、これらのサブユニットのアミノ酸配列は類似していることから、ELISA法では各サブユニットの分別定量は困難であると考えられる。
そこで、本研究では大豆品種ごとにβ-コングリシニンのサブユニット組成を明らかにすることで、その特徴を活かした機能性や加工特性の異なる加工品を開発できると考え、液体クロマトグラフタンデム質量分析装置(LC-MS/MS)と安定同位体標識内部標準ペプチドを用い、大豆β-コングリシニンのサブユニットの分別定量法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 本定量法では、大豆β-コングリシニンのトリプシン消化ペプチド(図1)のC末端アミノ酸を安定同位体標識アミノ酸に置換したペプチドを内部標準物質として用い、LC-MS/MS分析にてタンパク質の定量を行う。
  2. 大豆粉末からタンパク質を抽出し、トリプシン消化により得られたペプチドのうち、それぞれのサブユニットに特異的なペプチドと内部標準物質として添加した安定同位体標識ペプチドのLC-MS/MS分析により得られたピーク面積値を比較することで、α、α+α ?(合計値)およびβサブユニットを定量する。α ?サブユニットの定量値は、α+α ?サブユニットとαサブユニットの定量値の差分として得られる。
  3. 大豆タンパク質の抽出処理、トリプシン消化によるペプチドの生成およびLC-MS/MSの分析条件を図2に示す。この分析条件により得られたクロマトグラムの6.4、6.8および6.7分の位置に、図1で示した、αサブユニットの特異的アミノ配列であるLQSGDALRとその標識ペプチド、αおよびα ?サブユニットに共通の特異的アミノ酸配列であるNILEASYDTKとその標識ペプチドおよびβサブユニットの特異的アミノ配列であるNPIYSNNFGKとその標識ペプチドのピークが観測される(図3)。安定同位体標識ペプチドは、トリプシン消化ペプチドと分子量は異なるものの、ほぼ同じ物理化学的性質を有しているため、同一の保持時間に溶出されるが、分子量が異なるためLC-MS/MS法を用いることで分別測定が可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 大豆のβ-コングリシニンα、α ?およびβサブユニットの定量に活用できる。
  2. 複数の試薬メーカーが、安定同位体標識ペプチドの受託合成を行っており、作成を依頼できる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nfri/2018/nfri18_s01.html
カテゴリ 加工 加工特性 機能性 大豆 品種

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