硬肉モモの原因因子はオーキシン生合成酵素遺伝子YUCCAの発現抑制である

タイトル 硬肉モモの原因因子はオーキシン生合成酵素遺伝子YUCCAの発現抑制である
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹茶業研究部門
研究期間 2013~2018
研究担当者 立木美保
添野和雄
嶋田幸久
澤村豊
末貞佑子
八重垣英明
白松齢
森口卓哉
中嶋直子
発行年度 2018
要約 硬肉モモではオーキシン生合成に関わるフラビンモノオキシゲナーゼ(YUCCA)遺伝子の5'上流域にトランスポゾンが挿入し、果実成熟期に遺伝子の転写が抑制され、オーキシン量が増加しないため果肉が軟化しない。
キーワード モモ、果肉軟化、オーキシン、トランスポゾン、DNAマーカー
背景・ねらい 硬肉モモは一般的なモモ(普通モモ)とは異なり、収穫後も果肉がほとんど軟化しないため押し傷がつきにくく貯蔵・輸送性に優れる。普通モモの成熟後期には、オーキシンが急増することでエチレン生成が起こり、軟化関連酵素が誘導されて軟化する。硬肉モモでは、成熟後期にオーキシン量が増加しないため、軟化関連酵素の誘導が起こらず軟化しない。
そこで、本研究ではモモ果実のオーキシン生合成経路の中間代謝産物の含有量測定や生合成酵素遺伝子の発現解析等を通じて、硬肉モモの成熟後期にオーキシン量が増加しない原因を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 硬肉モモ成熟適期の果実では、オーキシン(インドール酢酸)の前駆体であるインドールピルビン酸が蓄積し、インドール酢酸含有量が増加しないことから、この段階を触媒する酵素であるYUCCAに問題が生じている(図1)。
  2. YUCCAはジーンファミリーを形成する。その中の一つ、PpYUC11は普通モモの成熟後期に発現量が急増し、成熟果実におけるオーキシンの生合成を担う。一方、硬肉モモの成熟果実では、PpYUC11発現量の増加は認められない(図2)。
  3. 硬肉モモはPpYUC11の転写開始点より1721bp上流にトランスポゾンの挿入があり、このアレル(hd-tと表記する)をホモに持つ(図3)。普通モモの場合、トランスポゾンの挿入がないアレル(Hdと表記する)をホモに持つタイプと、hd-tHdをヘテロに持つタイプが存在する。
  4. 既存45品種のPpYUC11の遺伝子型(硬肉はhd-t/hd-t、普通モモはhd-t/HdまたはHd/Hd)と硬肉モモ、普通モモの形質は一致する。また、F1個体においても、PpYUC11の遺伝子型と形質の分離は完全に一致する。
  5. トランスポゾンの挿入は下流の遺伝子PpYUC11の転写を抑制すると考えられ、挿入の有無は硬肉、普通モモの表現型と合致する。このことから、トランスポゾンの挿入を確認することで硬肉モモと普通モモを判別できる(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. トランスポゾン挿入の有無を見分けることで、硬肉性を判別するマーカーとして利用できる。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nifts/2018/nifts18_s10.html
カテゴリ DNAマーカー 品種 もも 輸送

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