肉料理の「こく」認識に関係する味覚表現用語のアンケート調査による推定

タイトル 肉料理の「こく」認識に関係する味覚表現用語のアンケート調査による推定
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2018~2020
研究担当者 渡邊源哉
本山三知代
中島郁世
佐々木啓介
発行年度 2020
要約 一般消費者および調理従事者を対象としたアンケートから、「こく」が重要視される肉料理とその料理の「こく」の知覚に関係すると推定される味覚表現用語を示す。本成果は食肉の「こく」の評価に用いる用語の候補となる。
キーワード 食肉、こく、官能評価、感覚用語、アンケート
背景・ねらい 近年、官能評価を用いた「食べてわかる違い」に基づく食肉の差別化の取り組みが国内外を問わずに行われており、日本国内の食肉の官能評価においては「こく」という用語がよく用いられている。一方で、「こく」の知覚には複数の感覚要素が寄与すると考えられることから、「食肉のこく」を全ての評価者が同じ意味として理解し、評価を行うためには「食肉のこく」の認識に関係する具体的な感覚要素を明らかにする必要がある。
そこで本成果では、一般消費者および調理従事者を対象としたアンケートから、「こく」が重要視される肉料理を喫食した際に知覚される感覚要素のうち、「こく」の知覚と相関が高いと推定される味覚表現用語を示す。
成果の内容・特徴 1.レシピ検索サイトより収集した43種類の肉料理について「こくがあった方が良い」、「こくがなくても良い」、「食べたことがない」のいずれかをWebアンケートにより回答させた結果から得られた、「こくがあった方が良い」と判定される確率の推定値が50%より有意に高い「こくがあった方が良い肉料理」は表1の通りである。
2.「こくがあった方が良い」と判定される確率の推定値が鶏肉、豚肉および牛肉のそれぞれにおいて上位3位となった料理は、「鶏肉の煮物」、「照り焼きチキン」、「鶏肉の炒め物」、「豚肉の煮込み」、「豚肉の肉じゃが」、「チャーシュー」、「牛肉の煮込み」、「牛肉のすき焼き」および「牛肉の肉じゃが」である。
3.表2の通り回答者をリクルーティングし、上記の9種類の肉料理を喫食した際に感じられる感覚としてあてはまると思う用語を全て選択させるアンケートを実施し、各味覚表現用語が9種類の肉料理それぞれを表現する用語としてあてはまると判定される確率の推定値を主成分分析した結果は図1の通りである。「こくのある」の近傍にプロットされ、肉料理の「こく」の認識に関係する味覚表現用語として推定されたものは、「ほろ甘い」、「ほんのり甘い」、「甘味」、「醤油味」、「厚みのある味」、「濃厚」、「後味」、「まったり」、「しつこい」、「脂肪味」、「うま味」である。
成果の活用面・留意点 1.本知見は食肉の「こく」の官能評価における候補用語の選択および定義づけ等に活用できる。
2.「こくのある」の近傍にプロットされる用語は、性別、年齢層、居住地域および一般消費者と調理従事者の区分による違いはない。
3.本知見において示された感覚用語は「こく」の知覚との相関関係が示すが、この相関は今回の調査対象に含まれていない感覚要素と「こく」の間に存在する擬似相関を表している可能性があり、留意が必要である。
4.本知見はアンケートに基づいており、消費者が肉料理を喫食した際の「こく」の知覚を直接的に解明したものではないことに注意が必要である。
図表1 244640-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2020/nilgs20_s10.html
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