タイトル | 飼料用米を活用した鶏肉の低コスト生産および鶏卵の高付加価値化 |
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担当機関 | (国)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門 |
研究期間 | 2015~2020 |
研究担当者 |
山崎信 大津晴彦 原文香 平川達也 佐藤幹 村上斉 佐々木啓介 中島郁世 木村俊之 松下浩一 小林那美香 本多芙友子 成田卓美 渡邊源哉 本山三知代 |
発行年度 | 2020 |
要約 | 養鶏における飼料用米の利用により、肉用鶏の低コスト生産が可能となり、特色ある鶏卵を生産することで高付加価値化が可能となる。生産される鶏卵に対する消費者の購入意識も高く、販売価格の増加による生産者の収益増加も期待できる。 |
キーワード | 飼料用米、低コスト生産、高付加価値化、消費者嗜好 |
背景・ねらい | EPA/FTAやTPP締結などによる国際的な輸出入の自由化の流れの中にあって、養鶏農家も収益力を向上させ、競争力を強化することが重要である。そのためには、自給飼料を活用して「生産コストの低減」と「生産物の高付加価値化に伴う販売額の増加」による収益力の向上を可能とする技術の開発が求められている。そこで、本研究では、水田のフル活用を目指して生産量が増加してきた飼料用米を活用することにより、養鶏における生産コストを低減し、特色ある鶏卵を生産できることを明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1.複数の農場で飼料用玄米を25%含有する飼料を肉用鶏ヒナの餌付けおよび前期飼料に使用した場合、飼料要求率が改善する(図1) 2.慣行飼料のトウモロコシに代替して飼料用玄米(30%)を配合した飼料を用いて肉用鶏を生産すると、生産過程での損耗数が減少して育成率が高まり、良好な発育となり、約30%の利益増加が期待できる(図2)。暑熱ストレス(環境温度33°C)を負荷した肉用鶏では炎症性の反応が亢進するが、飼料用玄米(30%)を配合した飼料を給与することにより、炎症性の反応は抑制される(図3)。健全性の向上の一部は炎症性反応の抑制によると推察できる。 3.慣行飼料のトウモロコシに代替して飼料用籾米(20~30%)を配合した飼料を産卵鶏に給与しても産卵成績に低下はみられず、産卵された鶏卵はビタミンE含量が高く、その鶏卵を用いて調製した半熟卵黄とカスタードプディングは全体的にあっさりした風味となり、カスタードプディングではしっかりした食感となるなど(図4)、特色ある鶏卵を生産できる。 4.一般消費者を対象としたWebアンケートによるコンジョイント分析の結果から、飼料用米を給与して生産した鶏卵もしくはその加工調理品に「飼料用米給与」の表示とともに風味や食感の特徴を表示した場合、消費者は慣行品に対して8%程度の割増価格の支払意思を有する。よって、「飼料用米給与」表示により付加価値を高めた生産物として慣行品よりも高い価格で販売可能であると期待される。 |
成果の活用面・留意点 | 1.普及対象:鶏肉・鶏卵の生産者、飼料メーカー、普及指導機関。 2.普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:飼料用米の入手可能な地域。 |
図表1 | |
研究内容 | https://www.naro.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2020/20_019.html |
カテゴリ | 加工 高付加価値 コスト 飼料用米 飼料用作物 水田 低コスト とうもろこし 鶏 輸出 |