c.温暖地における油糧作物を導入したバイオマス資源地域循環システムの構築

課題名 c.温暖地における油糧作物を導入したバイオマス資源地域循環システムの構築
課題番号 2008010687
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,中央研,バイオマス資源循環研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,近農研,中山間耕畜連携・水田輪作研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,食総研,食品素材科学研究領域
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,食総研,食品バイオテクノロジー研究領域
協力分担関係 茨城県農業総合センター
日清オイリオグループ(株)
(株)エイティーワン
(株)B.D.F.開発研究所
(株)大翔テック
(株)日本ハム
島根県斐川町・農林振興課
JA斐川町
島根県農業技術センター
島根県畜産技術センター
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 生産性の高いなたね・ひまわり品種の選定、安定栽培技術等の開発に向けて、1)品種登録されているなたね4品種について、関東以西における栽培適性を評価し、梅雨入り前に収穫可能なダブルロー品種として「キラリボシ」を選定した。また、なたねを11月になってから播種すると、成熟期が遅れるとともに、厳寒期には枯死する個体も生ずることから、10月中(平均気温15℃程度)の播種が適当と考えられた。2)小明渠浅耕播種機を用いた水稲跡におけるなたねの播種試験において、砕土性の良い2回耕うんを行った場合の出芽率は予想に反して1回耕うん時よりも低かった。3)なたねの粗選時に縦目篩と丸目篩を用いると最大で夾雑物の約80%を除去できることを明らかにした。また、油糧作物の乾燥に木質ペレットボイラ循環式乾燥機を使用した場合、既存の循環式乾燥機と比較して遜色のない乾燥能力を示すことを確認した。4)温暖地(関東地域)におけるひまわり栽培では、5月下旬播種が6月下旬播種より高収量で含油量・オレイン酸比率(高オレイン酸比率は品種選定時の一要件)が高いことを示した。ひまわりの栽培時に地下水位を高く維持すると収穫物のオレイン酸比率は低下する傾向があり、その程度は幼植物時期の処理で特に大きいことを明らかにした。5)ひまわりにおける鳥害の発生程度は品種によって異なり、粒幅6.7mm以上、粒厚が4.5mm以上の大粒の品種で少ない。この大粒の品種は10月初旬の収穫において十分高いオレイン酸比率を示す。6)茨城県行方市におけるひまわり栽培において、プラウ耕による耕盤破砕効果と土塊が下層土で大きく、表面で細かくなるような礫組構造ができることによる湿害軽減効果について現地試験を行った結果、気象条件に恵まれたこともあり、湿害対策を講じない場合のおよそ倍近い1t/haの全刈り収量を得た。 バイオマス利用の経済性を高めるため、1)マイクロ波連続照射装置を試作し、なたねを対象にマイクロ波による予措圧搾試験を行った。予措では種子の温度を100℃程度まで連続的に加熱することに成功した。2)なたねおよび大豆の圧片フレークの超臨界炭酸ガス抽出では、温度が高いほど抽出物質量が少なくトコフェロール含量が高い傾向があり、圧力および温度を調節することで、抽出物に含まれるトコフェロール等の成分をある程度制御できることを明らかにした。3)ひまわりのオイルケーキを材料にしたペレット燃料について、溶融温度、ストーブでの燃焼性、および発生ガス成分について調査し、木質ペレットと比較して、着火時間が遅く、NOxの発生量が多いことを明らかにした。4)小型可搬型SDF(STING Diesel Fuel)製造装置(超臨界メタノール法)の熱交換機、メタノール分離装置を改良し、変換効率を改善した。その結果、SDF製造に伴い排出されるCO2排出量は従来のアルカリ触媒法の50%程度となった。さらにSDF製造時の消費電力量を約10 %低減させた。5)北関東地域における冬季の温室トマト生産における単位収量当たりのCO2排出量は、定植後から収穫終了時にかけての1作平均で、九州地域の暖地での冬季温室トマト生産の約3倍である。本生産に既設のA重油暖房機に加えて木質ペレット焚き暖房機を増設し、必要な暖房負荷の2分の1を負担させるとCO2排出量を約40%削減できるが、増設コストを回収するためにはA重油価格が90円/Lの場合はペレット価格を約30円/kg以下とする必要がある。 油糧作物が地域活性化に及ぼす影響を解明するため1)油糧作物の潜在的な付加価値を明らかにするため、油糧作物の作付けによる景観形成に対して地域住民が示す環境支払い意思を評価した結果、1人当たり平均で2,662円/年であった。茨城県行方市でのCVM(仮想評価法)とコンジョイント分析法を用いた調査結果では、地域住民のひまわりの栽培管理やイベントなどへの労働参加意思は平均で2.5日/年であった。 中山間地域のひまわり・麦作付体系における窒素・炭素循環システムについて経済性・環境性を評価するため、1)湿害を受けやすいひまわりの栽培では、作土をpF1.5~3でかつ孔隙率15%程度の乾燥状態に保つことにより、生育が改善され、根の発達が良好で、AM 菌の共生率も大幅に増大することを現地で確認した。また、ひまわりを栽培することにより、土壌の孔隙構造・保水性が改善される傾向を認めた。2)ひまわりの密播による減収問題を解決するために1粒点播が可能なひまわり用播種ロールを完成させた。また、本技術とともに、耕うん同時簡易うね立て播種による湿害回避技術や、根を傷めないように工夫した機械除草を導入することにより、従来の3倍近い234kg/10a(防鳥対策をした坪刈平均)の収量を達成できることを現地で実証した。なお、全刈り収量は、鳥害やコンバインの収穫ロス(花托のほ場への落下、選別時の子実飛散)のため82.8kg/10aにとどまった。3)島根県斐川町の水田転換畑で実施しているひまわり栽培の現地試験において、1粒点播や湿害回避対策等の効果により、この3カ年で最も高い収量(平成18年:24.5kg/10a、平成19年:21.1kg/10a、平成20年:71.0kg/10a(福富地区))を得た。本現地試験を対象に、バイオマス循環モデルを適用し、ひまわり-ビール麦体系の経済性を評価した結果、農業所得を安定的に確保するためには150kg/10a以上のひまわり収量が必要であった。
カテゴリ 病害虫 安定栽培技術 乾燥 コスト 栽培技術 湿害 除草 水田 炭素循環 中山間地域 鳥害 トマト なたね 播種 ひまわり 評価法 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる