農作物等における放射性物質の移行動態の解明と移行制御技術の開発

課題名 農作物等における放射性物質の移行動態の解明と移行制御技術の開発
課題番号 2013023118
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 太田健
原田久富美
協力分担関係 福島県農業総合センター
古川農試
栃木県農業試験場
農環研
生物研
茨城県農業総合センタ-
(株)太平洋セメント
(株)DOWAエコシステム
信州大学
岩手大学
研究期間 2012-2015
年度 2013
摘要 農作物等における放射性物質の移行要因の解明と移行低減技術の開発に関しては、a)放射性セシウムの玄米への移行係数は経年的に低下 傾向にあるが、その程度は小さくなる傾向があることを明らかにした。また、稲ワラの施用により、土壌の交換性カリウム濃度が上昇し、玄米放射性セシウム濃度が低減することを確認した。b)水稲「北陸193号」の地上部137Csの濃度は出穂期まで、吸収量は登熟期まで増加することを明らかにした。窒素増施は分げつ期の地上部137Cs濃度を高め、かつ乾物重も増加させるため、137Cs吸収量に相乗的な影響があることを明らかにした。また、「北陸193号」の玄米の乾物当たり137Cs濃度は地上部の濃度に近い水準であり、玄米の乾物当たり137Cs濃度 が地上部の濃度の半分程度であるコシヒカリとは異なることを見出した。c)水稲ポット栽培のカリ無施用条件では、金雲母0.25%以上、黒雲母・ゼオライト0.5%以上の混和によって栽培期間中の土壌溶液のカリウム濃度が高く推移し、籾の137Cs濃度が低下することを明かにした。また、水田土壌から湛水培養・化学抽出した交換態放射性セシウムに占める溶出性の高い画分の割合は、湛水培養や硫安添加により増大し、アンモニウムイオン(NH4+)が可動性を高めることを見出した。d)水による土壌撹拌・除去による除染について、玄米中の放射性セシウム濃度の低減に除染やカリ施用の効果が認められるものの、粘土含量が低い圃場においては粘土含量が高い圃場よりバラツキが大きいことを確認した。e)土壌条件にかかわらず玄米セシウム濃度の変動は交換態Cs/Kを反映すること、植物体Cs/Kは玄米と枯葉で他の地上部器官より高く可溶性割合が低いこと、セシウムの玄米への分配率は高カリウム条件で低下することを明らかにした。f)水田畦畔草の放射性セシウム濃度は、土壌の交換性カリウム含量が30mg/100gと高い場合、草種に関係なく概ね安定して低い傾向にあることを明らかにした。g) ダイズの子実及び生育途中の器官の放射性セシウム濃度は、土壌の交換性カリウム含量が30mg/100g以上で安定して低いことを明らかにし た。また、塩化カリと硫酸カリは同等の効果があること、土壌の交換性カリウム含量を45mg/100g以上にしても放射セシウムの移行低減効 果は大きく変わらないことを明らかにした。h)ダイズ遺伝資源の元素分析により、子実のセシウム蓄積性には遺伝的多様性が存在すること、セシウム蓄積性は子実重、種皮色、子実中のカリウム含量との関連性が認められないことを明らかにした。i)ソバ収穫時の土壌の交換性カリウム含量が30mg/100g以上であれば、玄ソバの放射性セシウム濃度を基準値内に抑えられることを明らかにした。倒伏したソバ子実に 土壌等が付着すると放射性セシウム濃度が高まることから、みがき作業は玄ソバの放射性セシウム低減効果があることを明らかにした。j)コムギの放射性セシウムの蓄積性には、品種・系統間で違いがあることを明らかにした。k)表土剥ぎ取りによる除染後圃場の省力的管理手法の検討では、フェストロリウム及びイタリアンライグラスの初期生育は旺盛で、被度を順調に拡大し土壌流亡を抑制していることを現地圃場で確認した。また、福島研究拠点の黒ボク傾斜畑に土壌侵食モニタリング装置を設置し、放射性セシウムの動態モニタリングと流出防止技術の開発に着手した。l)イネ科牧草では、トールフェスクがオーチャードグラスに比べて放射性セシウム濃度が低く、収穫時期の異なる番草間の変動も小さい低吸収作物として有望であることを見出した。m) 草地の除染では、耕うん方法の違いによって草地更新圃場の牧 草放射性セシウム濃度の低減程度は異なり、耕深が深いほど、砕土率が高いほど放射性セシウム濃度は低減されることを明らかにした。n) 草地更新において牧草への放射性セシウムの移行を低減するためには、0~15cm深の土壌中の交換性カリウム含量の目標値は30~40mg/100gであることを見出した。o)牧草への土壌混入の影響に関して、マグネチックアナライザーを用いた磁性鉄含量の評価に基づいて、試料中 に含まれる土壌混入率を簡易に推定する方法を開発した。イタリアンライグラスの放射性セシウム濃度に品種間差が認められない場合には、磁性鉄含量と137Cs間に強い相関が認められることを明らかにし、土壌混入による撹乱の影響を見出した。p)イタリアンライグラスの放 射性セシウム濃度の抑制には、適切な刈取時期を守ること、土壌を混入しないように収穫することが効果的であることを明らかにした。q)家畜を用いずに簡易に放射性セシウムの消化吸収程度を推定したところ、牧草に比べて土壌、リター、サイレージ混入物では低く、これらの混入による放射性セシウム濃度の上昇の影響は大きいものの、家畜の吸収量増加への影響は濃度上昇に比べれば小さいと推測した。r)飼料用トウモロコシ-イタリアンライグラスの堆肥連年施用条件では、土壌交換性カリウム含量を35mg/100g以上とすることにより放射性セ シウムの移行低減効果を認めた。また、耕起を繰り返す飼料畑では、作物の放射性セシウム濃度の経年的な低下が、平成24年の夏以降は緩やかとなったことを確認した。s)飼料用稲では、堆肥を施用せず交換性カリウム含量が低い条件で窒素を多施用すると、地上部及び玄米中の放射性セシウム濃度が上昇すること、また、同一水田内の同じ水管理条件では、移植時期を遅くして湛水期間を短くすると、放射性セシウム濃度が低くなることを明らかにした。t)ブルーベリーの放射性セシウム濃度及び移行係数は、平成24年よりも低下したことを確認した。強せん定によって発生したひこばえの葉の放射性セシウム濃度は、1年枝の放射性セシウム濃度よりも高いことを明らかにした。u)クリ の放射性セシウム濃度は、平成24年より低下したものの、その低下の程度は平成23年から平成24年と比較して小さくなること、移行係数は、平成24年より更に低下したことを確認した。強せん定したクリでは、無せん定区や慣行せん定区と比べて収量が大幅に減少し、果実、葉及び枝の放射性セシウム濃度が上昇すること、また、強せん定したクリの徒長枝の葉の放射性セシウム濃度は、1年枝の葉の放射性セシウ ム濃度よりも低いことを明らかにした。v)カキでは3年枝以上の中枝の放射性セシウム濃度の対数値は、1年枝や2年枝の濃度と比例関係が あること、主枝基部(主幹)の重量含水率が高いほど1年枝や2年枝の放射性セシウム濃度も高いこと、また、主枝基部(主幹)木部の放射性セシウム濃度は低いことを確認し、枝内における水分状態と放射性セシウムの移行に関連性を認めた。w)リンゴ果実の放射性セシウム濃度は、平成24年よりも更に低下したことを確認した。中耕によって土壌中層(5~15cm)の放射性セシウム濃度は高くなるが、果実の放射 性セシウム濃度に影響は認められないことを明らかにした。x)金谷拠点で生産された平成25年の一番茶、二番茶における放射性セシウム濃度は、前年度より低下したことを明らかにした。また、安定セシウムを土壌に5.36mg/m2施用し2年経過しても新芽へ吸収移行しないことを明らかにした。
農作物の加工工程等における放射性物質の動態解明に関しては、a)うどんのゆで麺中の放射性セシウムは、麺の太さに関わらず、喫食に適した時間でゆでることにより最大限の低減効果を得た。ダイズ子実の放射性セシウムは、豆腐、納豆、煮豆への加工・調理過程で除去され、最終産物に含まれる放射性セシウム濃度は原料ダイズよりも低くなることを確認した。b)分析値の信頼性確保のために開発した放射性セシウム測定用玄米粒認証標準物質は、全国の食品・農産物の検査機関等に1年間で195本を販売した。
放射性物質の低吸収作物及び高吸収植物の探索に関しては、a)稲発酵粗飼料(WCS)のセシウム濃度は、インド型品種の多くで日本型品種 より高く、地上部全体では最大で3.3倍の、粗玄米では最大で4.5倍の品種間差があることを明らかにした。さらにWCS、粗玄米ともにセシ ウムの移行係数が安定して低い品種として「ふくひびき」などを選定した。b)福島県川俣町山木屋地区において、アマランサス属及び各種作物の栽培特性及び放射性物質の移行性を調査し、田圃場では畑圃場より放射性セシウムの移行性が高いこと、供試したアマランサス属では品種間差がなく葉における放射性セシウム濃度が高いこと、ケナフは放射性セシウム濃度が低いことを明らかにした。c)アマランサスの放射性セシウム高吸収品種は、標準品種に比べて10倍以上の放射性セシウムを吸収することを見出した。
農作物等における放射性物質の移行要因の解明と移行低減技術の開発に関しては、a)放射性セシウムの玄米への移行係数は経年的に低下傾向にあるが、その程度は小さくなる傾向があることを明らかにした。また、稲ワラの施用により、土壌の交換性カリウム濃度が上昇し、玄米放射性セシウム濃度が低減することを確認した。b)水稲「北陸193号」の地上部137Csの濃度は出穂期まで、吸収量は登熟期まで増加することを明らかにした。窒素増施は分げつ期の地上部137Cs濃度を高め、かつ乾物重も増加させるため、137Cs吸収量に相乗的な影響があることを明らかにした。また、「北陸193号」の玄米の乾物当たり137Cs濃度は地上部の濃度に近い水準であり、玄米の乾物当たり137Cs濃度が 地上部の濃度の半分程度であるコシヒカリとは異なることを見出した。c)水稲ポット栽培のカリ無施用条件では、金雲母0.25%以上、黒雲母・ゼオライト0.5%以上の混和によって栽培期間中の土壌溶液のカリウム濃度が高く推移し、籾の137Cs濃度が低下することを明かにした。また、水田土壌から湛水培養・化学抽出した交換態放射性セシウムに占める溶出性の高い画分の割合は、湛水培養や硫安添加により増大し、アンモニウムイオン(NH4+)が可動性を高めることを見出した。d)水による土壌撹拌・除去による除染について、玄米中の放射性セシウム濃度の低減に除染やカリ施用の効果が認められるものの、粘土含量が低い圃場においては粘土含量が高い圃場よりバラツキが大きいことを確認した。e)土壌条件にかかわらず玄米セシウム濃度の変動は交換態Cs/Kを反映すること、植物体Cs/Kは玄米と枯葉で他の地上部器官より高く可溶性割合が低いこと、セシウムの玄米への分配率は高カリウム条件で低下することを明らかにした。f)水田畦畔草の放射性セシウム濃度は、土壌の交換性カリウム含量が30mg/100gと高い場合、草種に関係なく概ね安定して低い傾向にあることを明らかにした。g)ダ イズの子実及び生育途中の器官の放射性セシウム濃度は、土壌の交換性カリウム含量が30mg/100g以上で安定して低いことを明らかにした 。また、塩化カリと硫酸カリは同等の効果があること、土壌の交換性カリウム含量を45mg/100g以上にしても放射セシウムの移行低減効果 は大きく変わらないことを明らかにした。h)ダイズ遺伝資源の元素分析により、子実のセシウム蓄積性には遺伝的多様性が存在すること、セシウム蓄積性は子実重、種皮色、子実中のカリウム含量との関連性が認められないことを明らかにした。i)ソバ収穫時の土壌の交換性カリウム含量が30mg/100g以上であれば、玄ソバの放射性セシウム濃度を基準値内に抑えられることを明らかにした。倒伏したソバ子実に土 壌等が付着すると放射性セシウム濃度が高まることから、みがき作業は玄ソバの放射性セシウム低減効果があることを明らかにした。j)コムギの放射性セシウムの蓄積性には、品種・系統間で違いがあることを明らかにした。k)表土剥ぎ取りによる除染後圃場の省力的管理手法の検討では、フェストロリウム及びイタリアンライグラスの初期生育は旺盛で、被度を順調に拡大し土壌流亡を抑制していることを現地圃場で確認した。また、福島研究拠点の黒ボク傾斜畑に土壌侵食モニタリング装置を設置し、放射性セシウムの動態モニタリングと流出防止技術の開発に着手した。l)イネ科牧草では、トールフェスクがオーチャードグラスに比べて放射性セシウム濃度が低く、収穫時期の異なる番草間の変動も小さい低吸収作物として有望であることを見出した。m) 草地の除染では、耕うん方法の違いによって草地更新圃場の牧草 放射性セシウム濃度の低減程度は異なり、耕深が深いほど、砕土率が高いほど放射性セシウム濃度は低減されることを明らかにした。n) 草地更新において牧草への放射性セシウムの移行を低減するためには、0~15cm深の土壌中の交換性カリウム含量の目標値は30~40mg/100gであることを見出した。o)牧草への土壌混入の影響に関して、マグネチックアナライザーを用いた磁性鉄含量の評価に基づいて、試料中に含まれる土壌混入率を簡易に推定する方法を開発した。イタリアンライグラスの放射性セシウム濃度に品種間差が認められない場合には、磁性鉄含量と137Cs間に強い相関が認められることを明らかにし、土壌混入による撹乱の影響を見出した。p)イタリアンライグラスの放射 性セシウム濃度の抑制には、適切な刈取時期を守ること、土壌を混入しないように収穫することが効果的であることを明らかにした。q)家畜を用いずに簡易に放射性セシウムの消化吸収程度を推定したところ、牧草に比べて土壌、リター、サイレージ混入物では低く、これらの混入による放射性セシウム濃度の上昇の影響は大きいものの、家畜の吸収量増加への影響は濃度上昇に比べれば小さいと推測した。r)飼料用トウモロコシ-イタリアンライグラスの堆肥連年施用条件では、土壌交換性カリウム含量を35mg/100g以上とすることにより放射性セシ ウムの移行低減効果を認めた。また、耕起を繰り返す飼料畑では、作物の放射性セシウム濃度の経年的な低下が、平成24年の夏以降は緩やかとなったことを確認した。s)飼料用稲では、堆肥を施用せず交換性カリウム含量が低い条件で窒素を多施用すると、地上部及び玄米中の放射性セシウム濃度が上昇すること、また、同一水田内の同じ水管理条件では、移植時期を遅くして湛水期間を短くすると、放射性セシウム濃度が低くなることを明らかにした。t)ブルーベリーの放射性セシウム濃度及び移行係数は、平成24年よりも低下したことを確認した。強せん定によって発生したひこばえの葉の放射性セシウム濃度は、1年枝の放射性セシウム濃度よりも高いことを明らかにした。u)クリの 放射性セシウム濃度は、平成24年より低下したものの、その低下の程度は平成23年から平成24年と比較して小さくなること、移行係数は、平成24年より更に低下したことを確認した。強せん定したクリでは、無せん定区や慣行せん定区と比べて収量が大幅に減少し、果実、葉及び枝の放射性セシウム濃度が上昇すること、また、強せん定したクリの徒長枝の葉の放射性セシウム濃度は、1年枝の葉の放射性セシウム 濃度よりも低いことを明らかにした。v)カキでは3年枝以上の中枝の放射性セシウム濃度の対数値は、1年枝や2年枝の濃度と比例関係があ ること、主枝基部(主幹)の重量含水率が高いほど1年枝や2年枝の放射性セシウム濃度も高いこと、また、主枝基部(主幹)木部の放射性セシウム濃度は低いことを確認し、枝内における水分状態と放射性セシウムの移行に関連性を認めた。w)リンゴ果実の放射性セシウム濃度は、平成24年よりも更に低下したことを確認した。中耕によって土壌中層(5~15cm)の放射性セシウム濃度は高くなるが、果実の放射性 セシウム濃度に影響は認められないことを明らかにした。x)金谷拠点で生産された平成25年の一番茶、二番茶における放射性セシウム濃度は、前年度より低下したことを明らかにした。また、安定セシウムを土壌に5.36mg/m2施用し2年経過しても新芽へ吸収移行しないことを明らかにした。
農作物の加工工程等における放射性物質の動態解明に関しては、a)うどんのゆで麺中の放射性セシウムは、麺の太さに関わらず、喫食に適した時間でゆでることにより最大限の低減効果を得た。ダイズ子実の放射性セシウムは、豆腐、納豆、煮豆への加工・調理過程で除去され、最終産物に含まれる放射性セシウム濃度は原料ダイズよりも低くなることを確認した。b)分析値の信頼性確保のために開発した放射性セシウム測定用玄米粒認証標準物質は、全国の食品・農産物の検査機関等に1年間で195本を販売した。
放射性物質の低吸収作物及び高吸収植物の探索に関しては、a)稲発酵粗飼料(WCS)のセシウム濃度は、インド型品種の多くで日本型品種 より高く、地上部全体では最大で3.3倍の、粗玄米では最大で4.5倍の品種間差があることを明らかにした。さらにWCS、粗玄米ともにセシ ウムの移行係数が安定して低い品種として「ふくひびき」などを選定した。b)福島県川俣町山木屋地区において、アマランサス属及び各種作物の栽培特性及び放射性物質の移行性を調査し、田圃場では畑圃場より放射性セシウムの移行性が高いこと、供試したアマランサス属では品種間差がなく葉における放射性セシウム濃度が高いこと、ケナフは放射性セシウム濃度が低いことを明らかにした。c)アマランサスの放射性セシウム高吸収品種は、標準品種に比べて10倍以上の放射性セシウムを吸収することを見出した。
カテゴリ アマランサス イタリアンライグラス 遺伝資源 かき 加工 くり 除染技術 飼料用作物 水田 水稲 そば 大豆 とうもろこし 品種 ブルーベリー 水管理 モニタリング りんご

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