課題名 | 土壌・資材の評価と肥効改善による効率的養分管理技術の開発 |
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課題番号 | 2014025557 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
高橋茂 野中邦彦 |
協力分担関係 |
海匝農業事務所 農環研 東京工業大 静岡県農技研茶研セ 滋賀県農技セ 鹿児島県農総セ 静岡大学 (株)伊藤園 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 土壌診断に基づく適正施肥実践のための簡易診断法の開発・改良に関しては、 a) 水田土壌の風乾土湛水培養による可給態窒素は、風乾土を105℃で24時間絶乾後に25℃1時間水抽出して得られる抽出液中の有機態炭素量から推定できることを明らかにした。 b) 水田可給態窒素量と窒素施肥量の和は、玄米収量と2次回帰式で有意な相関関係が認められることを明らかにした。 c) 畑土壌中可給態リン酸の現場型評価法に用いる抽出剤をクエン酸水溶液へ換えることにより抽出力の強化並びに定法であるトルオーグリン酸と高い正の相関が得られたことから、汎用水田への応用の可能性を認めた。 d) リン・カリ両成分同時抽出剤の候補として、クエン酸・精製塩混合液を選定した。 e) 航空写真から作成した乾湿区分図で、乾に区分される圃場ではダイズの開花期以降の降雨が少ない年に低収となり、降雨が多い年には多収となる傾向を明らかにした。 家畜ふん堆肥のリン酸肥効の解明と資材化技術の開発に関しては、 a) 堆肥施用による可給態リン酸の増加は、ペレット堆肥でペレット堆肥を粉状に破砕した堆肥に比べて多く、これは水溶性リンも同様であること、また、ペレット堆肥の水分は土壌に施用後大きく上昇し、これによりリンの無機化が進行することを明らかにした。 b) 太陽熱消毒を模した高温条件(45℃)での牛ふん堆肥の窒素動態は、堆肥の水抽出有機態炭素と負の相関にあり、多い場合には有機化が優先し無機態窒素が減少することを示した。 c) 牛ふん堆肥窒素の無機化量及び硝化量は30℃、水分42%で最大であり、土壌窒素の無機化量及び硝化量とは異なることを示した。 d) 無機化の早い有機質肥料を用いれば、ニンジン、レタスが窒素栄養不足にならず、またレタスでは牛ふん堆肥や有機質肥料の施用によりリン酸栄養が改善し、生育が良くなることを示した。 e) 単年度の圃場試験ではあるが、鶏ふんペレット肥料のうね内部分施用によりニンジン根部のリン酸含有率が増加することを明らかにした。また、点滴灌水によりニンジン収量は増加し、うね内部分施用との併用で3割程度の減肥が可能であることを示した。 土壌蓄積養分の活用に関しては、 a) 堆肥施用後の圃場をマルチ被覆することによって、積算地温が確保されて土壌窒素の無機化が促進されるとともに、降雨による窒素溶脱が抑制されるため、土壌中の無機態窒素濃度が高く維持され、キャベツが増収することを明らかにした。 b) リン酸肥沃度が低い土壌でも、冬作緑肥(エンバク、ベッチ、シロガラシ)の導入によるコマツナ、スイートコーンのリン酸2割減肥と夏作緑肥(ソルガム、クロタラリア)の導入によるコムギのリン酸2割減肥が可能であることを所内圃場試験で明らかにした。 接触施肥等による野菜の施肥リン酸利用率に関しては、発芽時の温度が15℃、25℃ではリン酸のセルトレイ内局所施用によりレタスの発芽遅延が認められたが、最終的な発芽率は慣行栽培と同等であることを確認した。また、35℃ではセルトレイ内局所施用により発芽率が低下し、育苗期間中の温度が高い場合にはセルトレイ内局所施用技術の適用に難があることを示した。 茶園での環境負荷低減型施肥技術に関しては、 a) 樹冠下までの施肥幅拡大による窒素利用率向上と芽出し肥施肥後の降雨又は灌水により、一番茶の品質が向上することを明らかにした。 b) 樹冠下までの施肥幅拡大をベースにする環境負荷低減型施肥技術の圃場試験4年目の調査から、年間窒素施用量を20~30%削減しても慣行と同等の収量が確保できることを明らかにした。 c) 整せん枝残さの土壌還元と、石灰窒素の施用や樹冠下施肥などの効率的な施肥技術との組み合わせにより、茶の収量・品質を確保しつつ窒素施肥量及び環境負荷量の削減が可能であることを取りまとめマニュアル化した。 土壌生産力の長期的推移や環境負荷物質の発生に及ぼす影響に関しては、 a) 有機物無施用の非黒ボク土畑において、土壌への火山灰の混入度が長期的な土壌炭素の増減に影響する可能性を重回帰分析により示した。 b) 豚ぷん堆肥にナタネ粕及び尿素を加えた混合物への石灰窒素の添加により一酸化二窒素の発生量が低減すること、及び石灰窒素の適切な添加量は混合物重量の1%程度であることを明らかにした。 c) 夏期の有機質肥料施肥後のポリフィルム被覆を導入した露地野菜栽培圃場においては、ポリマルチ被覆期間中に多くの一酸化二窒素が大気中に放出され、期間中の排出量が年間の総排出量の40%以上となることを明らかにした。 d) 茶園からの一酸化二窒素発生量予測について、アンモニア態・硝酸態窒素濃度、土壌水分量、地温を説明変数とする一次反応式モデルのパラメータ推定を行い、年次や窒素施肥条件が異なるデータセットでパラメータの妥当性を確認した。 |
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