乳房炎等の大規模酪農関連疾病の診断・防除法の開発

課題名 乳房炎等の大規模酪農関連疾病の診断・防除法の開発
課題番号 2014025585
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 林智人
協力分担関係 北海道NOSAI
(地独)道立畜産試験場
酪農学園大
農業生物資源研究所
山梨県酪農試験場
群馬県畜産試験場
家畜改良事業団
(株)微生物化学研究所
東北大学
東芝ホクト電子(株)
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要  乳房炎等の大規模酪農関連疾病の研究に関しては、
a) 乳中のウシ肝細胞成長因子(HGF)を定量するサンドイッチELISAを開発した。このELISAを用いて黄色ブドウ球菌(SA)性乾乳期乳房炎乳汁中のHGF濃度を測定し、乳房炎慢性期にHGF濃度が低下することを明らかにした。
b) 菌側の乳房炎発症機構の解明に関し、マイコプラズマ3種(Mycoplasma (M). arginini、M. californicum、M. canadense)のゲノム情報を明らかにし、特にM. californicumにおいては蔓延主因を分子疫学手法により解明した。またM. californicumに薬剤耐性株が存在することを明らかにした。
c) 黄色ブドウ球菌に対する免疫を効率的に誘導する方法の検討に関しては、乳腺に乳房炎原因菌に特異的な免疫応答を誘導する前感作抗原を得る目的で、SAの鉄代謝や組織定着に関わる分子(Isd-A、Isd-B、Isd-H、ClfA及びFnbP)の組換えタンパク質を作製した。それらは前感作抗原として使用できる可能性を示唆した。
d) 鼻腔粘膜経路でSA由来抗原を前感作しておいた牛は、前感作なしの牛と比較し、SA乳房内感染後に短時間で強いSA特異的IgA抗体を乳汁中に誘導できることを確認した。
e) 乳房炎の防除法の開発に関し、新たな乳房炎検査システムを現地実証したところ、乳房炎原因菌を同定することが可能となり、乳房炎制御においては、菌の同定の他、搾乳方法の変更や産次増加に伴う栄養管理等の検討も必要であることを示した。
f) 乳房炎の防除法の開発に関し、黄色ブドウ球菌性乳房炎罹患牛に対する組換えカイコを用いて作製した牛顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子の乳房内投与が、乳汁中の体細胞数及び細菌数を有意に低減させ、乳房炎治療効果を有することを明らかにした。
g) 乾乳時において分房に組換え牛顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(boGM-CSF)を注入したところ、健康分房では全ての分房で、乳房炎分房では3分房中2分房で、分娩後7~14日以降に体細胞数が減少し、乳房炎の乾乳期治療及び予防にboGM-CSFが有効である可能性を示した。
h) 酪農環境由来サルモネラの性状解析により、成牛型サルモネラ症における発病機構の一端の解明に関しては、サルモネラ菌が産生する百日咳毒素と類似したArtAB毒素には、血清型が数種あることを確認し、これらの毒素分子中にマウスに対する致死活性因子が含まれていることを明らかにした。さらにそれらを構成するArtB因子が致死活性に関連している可能性を示した。
i) 牛サルモネラ症の原因となるSalmonella Typhimurium(ST)は、ArtAB毒素の有無で2つの流行型に分けられ、ArtAB毒素を持つSTは他のSTと比較してマウスに毒力が強いこと示した。多くのArtAB毒素保有株が持つ共通配列162 bp-ampliconとhldD及びirsAの保有状況は完全に一致することを示した。
j) 牛白血病ウイルス(BLV)陽性子牛のリンパ腫を調査したところ、その多くはBLV関連多形型B細胞性リンパ腫であり、かつそれらは成牛の症例と同様に組織学的な所見で病理学的判定ができたことから、今後BLV陽性子牛のリンパ腫は組織学的所見に基づいて診断することを可能とした。
k) その他牛の下痢・肺炎等の発病機構の解明及び診断に関し、牛筋線維芽細胞腫の発生に関与している牛乳頭腫ウイルスのE2タンパク質の機能解析を目的として、本タンパク質と相互作用する標的分子を含む可能性のある発芽酵母コロニーを「Yeast Two Hybrid法」を用いて約1,200個分離した。
カテゴリ カイコ 乳牛 防除 薬剤耐性

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