課題名 | 環境負荷の低減及び農業生産資材の効率的利用に資する農業機械の開発及び試験評価の高度化 |
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課題番号 | 2014025627 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
小林研 |
協力分担関係 |
井関農機(株) (株)クボタ (株)ササキコーポレーション 三菱農機(株) ヤンマー(株) 福島県相馬郡飯舘村 プレテック(株) 滋賀農技セ 島根農技セ 岩手農研セ |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 簡素化・省エネルギ型コンバインでは、試作2号機に穀選別損失の低減及び単粒割合向上のための改良を施し精度試験を行った結果、脱穀所要独力はエンジン出力の1割程度(自脱コンバインは4割程度)で、脱穀性能及び単粒化処理性能は同等であることを確認した。農業機械の電動化技術では、ロータリ耕うん機1号機の動力伝達系の構造を簡素化し、機体を小型化した2号機を改良試作し、ロータリ耕うん試験に供した結果、エンジン駆動に比べ作業部の所要動力が20%程度低かった。作業機駆動用モータ出力の増大と作業時間延長のためのバッテリ増設等の改良点を把握した。田植機植付部電動化に関しては、平成25年度に完了した。エネルギー植物の収穫・運搬・貯蔵のための機械に関しては、平成23年度に完了した。小型ケーンハーベスターの裁断性強化に関しては、平成23年度に完了した。バイオエタノール一貫生産システムに関しては、平成25年度に完了した。触媒反応による加熱や籾がら燃焼等を活用した新乾燥技術では、触媒加熱方式遠赤外乾燥試験装置2号機を供して籾の連続乾燥試験を行った結果、触媒燃焼方式のランニングコストを灯油バーナ以下にするには、乾燥速度を0.8%/h以上する必要があることを確認した。また、小型籾殻燃焼炉熱風発生装置2号機を供して燃焼試験を行い燃焼空気量を減らすことにより燃焼ガス中のNOxを低減できる可能性を得た。乾燥試験では、穀物乾燥に必要な熱風を供給できたが、籾殻投入量に対し乾燥に利用できるエネルギー割合をさらに高める必要性を認めた。中山間地域に存在する自然エネルギーの利活用について、開発した小水力発電用除塵装置を農業用水路に設置して実証試験を行った結果、塵芥詰まりによる発電水車の停止は見られず、連続的な発電が可能であることを明らかにした。 このほか、 a) 省エネルギ型耕うん機構では、斜め駆動ディスク方式による省エネ耕うん機構を試作し、ほ場で試験を行った結果、ロータリ耕うん装置に比べて所要動力を低減できる可能性を得たが、作業速度が低く、改良が必要であることを明らかにした。 ブームスプレーヤーの振動制御技術に関しては、平成25年度に完了した。能率的作物生育観測技術に関しては、平成25年度に完了した。物理的防除技術を用いた病害虫防除機では、苗に8~14日間超音波を照射することで、トマトうどんこ病、イチゴうどんこ病、イチゴ炭疽病に対して防除効果があること、周波数により防除効果が異なることを明らかにした。微生物活性を高度にコントロールする生物脱臭装置では、微生物環境制御型脱臭システム試作2号機を養豚農家の密閉縦型堆肥化装置に取り付け性能試験を行った結果、微生物(脱臭菌)環境を25~35℃に制御することでアンモニア除去率は92%で臭気濃度を1/10に低減できた。尿汚水の液肥化技術に関しては、平成24年度に完了した。農業機械・資材へのバイオマス由来素材の利用に関する基礎的研究では、研究担当者が病気療養のため長期不在となり、計画した内容を実施できなかった。 このほか、 a) 乗用管理機等に搭載する水田用除草装置では、試作3号機(4条用、6条用)を供して現地試験を行った結果、歩行用除草機の約4倍の作業速度である1.2m/sで作業可能で、2回の作業で除草率は80%以上となり、実用性があると判断した。 棚用果樹の低騒音・低ドリフト防除機に関しては、平成23年度に完了した。農薬を使用しない高能率水稲種子消毒装置について、試作4号機の防除効果は、全7種の水稲種子伝染性病害に対して温湯消毒と同等以上であり、約20種の市販水稲種子を処理した際の発芽率は全て90%を上回った。本装置の作業能率は100kg/hで、ランニングコストは温湯消毒体系に対して約5割減と試算できた。作業・生産履歴等に基づく営農支援と消費者への情報発信に資するシステムでは、記録対象のトラクター数の増加や適応作業機種の拡大を図り、取得した通年の記録を解析することによって、ほ場間移動等を含む作業実態の全容の把握が可能となった。また、試作した普通型収量コンバインでマップ化した収穫情報を、肥培管理の効果の検証に活用できる可能性が得られた。携帯型植物水分情報測定装置に関しては、平成25年度に完了した。タイヤに付着した土壌による路面汚染を軽減する技術では、履帯内への土壌侵入を遮蔽する装置を試作し試験を行った結果、履帯内部の土壌付着量を約45%低減でき、効果を確認した。 このほか、 a) 高濃度汚染地域における農地土壌除染技術体系の構築・実証(農地土壌除染技術)-農地除染用機械を用いた除染技術では、開発した表土削り取り機を用いて現地試験を行った結果、削り取り深さ6.5cmで、圃場作業量1.5h/10a程度の作業が可能であり、実用性があると判断した。 b) 高濃度汚染地域における農地土壌除染技術体系の構築・実証(果樹園・茶園の除染技術)-機械を利用した剥土による土壌除染技術、せん定枝の粉砕搬出技術では、樹冠下剥土機の排土板を改良し、傾斜地での現地適応性試験を行うとともに、剥土作業の手引きを作成した。また、樹木粉砕機による汚染果樹せん定枝の粉砕作業についても手引き書を作成した。 トラクター作業、コンバイン収穫、穀物乾燥などの圃場管理の基本的作業における省エネルギー評価手法では、トラクターにおいては昨年度確立した省エネ性能評価試験方法(TC)を20PS級及び60PS超級に適応拡大するために種々の条件下における圃場試験を実施しデータを蓄積した。穀物用循環型乾燥機においても、26%を超える高水分籾へのTC適用を目的として、高水分籾を供した乾燥試験を行いデータを蓄積した。さらに、自脱コンバイン用TC作成を目的として刈り取り作業時の燃料消費量補正方法と面積当たり燃料消費量の算出方法について、圃場試験を行って検討した。排ガスの評価手法に関しては、平成25年度に完了した。 |
カテゴリ | 病害虫 いちご うどんこ病 温湯消毒 環境制御 乾燥 傾斜地 コスト 種子消毒 省エネ・低コスト化 除染技術 除草 除草機 水田 炭疽病 中山間地域 トマト 農薬 肥培管理 病害虫防除 豚 防除 圃場管理 |