誘引処理によるニホンナシ長果枝側芽の着花率増加機構

タイトル 誘引処理によるニホンナシ長果枝側芽の着花率増加機構
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 伊東明子
羽山裕子
吉岡博人
八重垣英明
発行年度 1998
要約 ニホンナシ「幸水」の新梢伸長停止期の誘引(新梢を傾ける)は長果枝側芽の花芽着生率を増加させる。これは、新梢内の拡散性オーキシンが誘引によって減少し、このことが側芽中のサイトカイニン含量の増加を誘導し、サイトカイニン増加によって側芽の花芽への発達が促進されるためである。
背景・ねらい
わが国で第1の生産高の「幸水」は、長果枝に着生する側花芽を利用する栽培方法が一般的であるが、側芽の花芽着生率が低く、大きな問題となっている。新梢伸長停止期に新梢を傾ける(誘引)と花芽着生率が増加することが知られているが、その機構については不明な点が多いため、その一端を解明することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1.  ニホンナシの長果枝を6月の終わりに誘引処理すると、新梢内の拡散性オーキシン含量が減少する(図1)。一方、側芽ではオーキシン含量が減少し、サイトカイニン含量が増加する(データ略)。
  2.  オーキシン移行阻害剤の散布は、側芽中のサイトカイニン含量を増加させる(図2)。
  3.  オーキシン移行阻害剤、合成サイトカイニン剤の散布により、新梢当たり側芽の花芽着生率が増加する(データ略)。
  4.  以上の結果から、誘引による側芽の花芽着生率増加は、1)枝を倒すことによる刺激で新梢内の拡散性オーキシンが減少し、2)その結果、側芽中のサイトカイニン含量が増加する、3)サイトカイニン含量の増加は側芽の発達を促進するため、花芽着生数が増加する、という機構で起こっていると考えられる(図3)。
成果の活用面・留意点
本知見は、ニホンナシの花芽形成の制御機構にオーキシンとサイトカイニンの動態の変化が関与していることを明らかにした。これらの変化は樹体内の各器官間の優勢性の制御にも関与していると考えられるため、樹体の生育制御機構に関する研究への発展が期待される。また、本知見に立脚した、生理活性物質の散布による花芽着生制御技術の開発の可能性は高い。
図表1 212957-1.gif
図表2 212957-2.gif
図表3 212957-3.gif
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