タイトル |
衛星リモートセンシングによる秋まき小麦子実蛋白含有率の推定技術 |
担当機関 |
北見農試 |
研究期間 |
2002~2004 |
研究担当者 |
志賀弘行
安積大治
日笠裕治
佐藤導謙
林哲央
奥野林太郎
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発行年度 |
2004 |
要約 |
秋まき小麦の収穫時期の3~4週間前以降に観測された衛星データのNDVIから、子実蛋白含有率を推定し、区分図を作成できる。得られた情報は、子実蛋白含有率の変動実態や地域特性の把握と、次年度以降の栽培管理の改善に利用可能である。また収穫直前の衛星データから、倒伏状況を把握することができる。
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キーワード |
コムギ、秋まき小麦、人工衛星、リモートセンシング、蛋白質、倒伏
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背景・ねらい |
衛星リモートセンシングにより、秋まき小麦の品質評価基準のうち変動が大きい子実蛋白含有率を推定する技術を開発する。地域の子実蛋白含有率の変動を地図化することによって、蛋白レベルに応じた適切な管理を実施するための情報を生産現場に提供し、秋まき小麦の均質安定生産に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 衛星データで観測された秋まき小麦の登熟期間の赤・近赤外波長放射輝度、正規化植生指数(NormalizedDifferenceVegetationIndex:NDVI)と子実蛋白含有率との相関は、調査全年次、地域を通じて高く、特にNDVIと子実蛋白含有率との相関は安定していた。おおむね標準的な収穫時期の3~4週間前以降の衛星観測によるNDVIを用いて子実蛋白含有率を推定し、区分図を作成することができる(図1、図2)。
- 衛星データから秋まき小麦子実蛋白含有率区分図を作成するための手順を示す(図3)。
- 子実蛋白含有率区分図を、他年次の区分図や他時期の衛星データ、また土壌情報など既存の地図情報と対比することによって、子実蛋白含有率の変動要因を推察することができる。
- 秋まき小麦収穫前の赤・近赤外波長放射輝度特性から、秋まき小麦圃場の倒伏状況を把握できる。年次による変動はあるが、概ね以下の判別式にあてはまる地点では、倒伏が発生している可能性が高い(図4)。
Y>-1.1X+150.67 (Y:近赤外波長放射輝度 X:赤波長放射輝度 単位:W/m2/sr/µm) なお、倒伏の判別精度は、使用する衛星データの地上分解能が高い方が向上する。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、生産者団体や農家が、地域の秋まき小麦の均質安定生産にむけた取り組みに活用する。
- 本成果は秋まき小麦品種「ホクシン」を対象とした。
- 著しく生育の劣る圃場や雑草が旺盛に繁茂する圃場、衛星観測後の気象災害等により、子実蛋白含有率の推定精度は低下する。
平成16年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
課題名:衛星リモートセンシングによる秋まき小麦子実蛋白含有率の推定技術(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
小麦
栽培技術
雑草
評価基準
品種
リモートセンシング
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