タイトル |
アミロース含有率が適度に低い極良食味水稲新品種候補「上育453号」 |
担当機関 |
北海道立上川農試 |
研究期間 |
1997~2007 |
研究担当者 |
菊地治己
吉村 徹
佐々木忠雄
佐藤 毅
沼尾吉則
新橋 登
前川利彦
相川宗嚴
丹野 久
田中一生
粕谷雅志
尾崎洋人
品田博史
平山裕治
木下雅文
木内 均
|
発行年度 |
2007 |
要約 |
「上育453号」は出穂期が“中生の早”であり収量性が高く、アミロース含有率が適度に低いため食味が「ほしのゆめ」に明らかに優り「おぼろづき」並かやや優り良好である。
|
キーワード |
イネ、粳、アミロース含有率、極良食味
|
背景・ねらい |
近年、北海道産粳米は、品種改良や栽培技術の向上による食味水準の向上および販売面の努力によって全国的な評価を高めている。しかし、登熟温度の低い年次の北海道産米は、アミロース含有率が高くなり、炊飯米の粘りが弱くなりやすい。そのため、高い食味水準を安定して維持するためにはアミロース含有率が適度に低い米が必要とされてきた。
|
成果の内容・特徴 |
- 「上育453号」は、平成9年に極良食味品種を育成を目的に、低アミロース良食味系統の「札系96118」を母、多収良食味系統の「上育427号」を父として人工交配を行い葯培養により得られた倍加固定系統から選抜された。
- 出穂期は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並の“中生の早”であり成熟期は「おぼろづき」「ほしのゆめ」よりやや遅い、“中生の早”に属する。玄米収量は「おぼろづき」「ほしのゆめ」より多収である。また、割籾の発生は「ほしのゆめ」より少ない(表1)。
- 穂ばらみ期の耐冷性は「はくちょうもち」より強い“極強”であり、開花期耐冷性は“強”である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii,Pik”と推定され、葉いもち圃場抵抗性は「ほしのゆめ」よりやや強く、「おぼろづき」並の“やや弱”と判定される。穂いもち圃場抵抗性は、「ほしのゆめ」よりわずかに強く、「おぼろづき」よりわずかに弱い“やや弱~中”である(表1)。
- 炊飯米の粘り・柔らかさで「ほしのゆめ」に優り、食味評価は「ほしのゆめ」に明らかに優り、「おぼろづき」並かやや優り良好である。食味関連成分のアミロース含有率は「おぼろづき」より2~3ポイント程度高く「ほしのゆめ」より5~6ポイント程度低い。白米の蛋白質含量率は「おぼろづき」より低く、「ほしのゆめ」並である。。
|
成果の活用面・留意点 |
- 「上育453号」を「おぼろづき」と「ほしのゆめ」の一部に置き換えて作付けすることにより、極良食味米の安定供給と北海道産米の食味向上に寄与できる。普及対象地域 は早生品種奨励地帯を除くほぼ全道一円で普及予定面積は10,000haである。
- 耐冷性が対照品種に比べてやや劣るため、前歴期間および冷害危険期にかけて深水管理を徹底する。
- 耐倒伏性がやや劣るため「北海道施肥標準」を遵守し、多肥栽培は厳に慎む。
- いもち病抵抗性が不十分であるため、発生予察に留意し、適切な防除に努める。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 水稲新品種候補「上育453号」 普及奨励 表1 上育453号の特性概要
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
病害虫
いもち病
栽培技術
新品種
水稲
施肥
多収良食味
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
品種改良
防除
水管理
良食味
|