六フッ化イオウを用いて測定した反すう家畜からのメタン発生量の精度と代謝エネルギー摂取量算出への利用

タイトル 六フッ化イオウを用いて測定した反すう家畜からのメタン発生量の精度と代謝エネルギー摂取量算出への利用
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2000~2002
研究担当者 永西 修
栗原光規
寺田文典
田鎖直澄
樋口浩二
野中最子
発行年度 2004
要約 六フッ化イオウをトレーサーとして利用して測定した反すう家畜からのメタン発生量は、開放型呼吸試験装置により測定した値と有意差がなく、代謝エネルギー摂取量測定にも十分利用できる。
キーワード ウシ、ヒツジ、ヤギ、メタン、地球温暖化、代謝エネルギー、家畜栄養
背景・ねらい 反すう家畜から発生するメタンは、温室効果ガスであると同時に、摂取した飼料エネルギーの損失であり、その正確な測定と低減技術の開発が多くの国で求められている。そのため、近年、六フッ化イオウ(以下、SF6)をトレーサーとして利用して、メタン発生量を比較的簡易に測定する技術(以下、SF6トレーサー法)が提案されている。そこで、SF6トレーサー法と開放型呼吸試験装置(以下、呼吸試験法)により反すう家畜からのメタン発生量を測定し、測定精度について検討する。また、総エネルギー摂取量、糞尿へのエネルギー排泄量および両測定手法で求めたメタン発生量を用いて、家畜の代謝エネルギー(以下、ME)摂取量を求め、比較検討する。
成果の内容・特徴 1.
SF6トレーサー法は、SF6を定量的に放出するカプセルを家畜に投与し、呼気中に含まれるSF6とメタン(CH4)の濃度を測定することによって、以下の式によりメタン発生量を算出する方法である。
  CH4発生量(g/日)=SF6放出速度(g/日)×[CH4(μg/m3)/SF6(μg/m3)]
2.
同一処理に育成牛または乾乳牛を4頭供試し、1日単位で2~4日間にわたってメタン発生量を測定し、供試牛のメタン発生量について比較した結果、SF6トレーサー法によるメタン発生量は呼吸試験法による測定値の84~121%(平均99%)であり、両測定値間に有意差はない(p>0.1;表1)。
3.
同時に、総エネルギー摂取量および糞尿へのエネルギー排泄量を測定し、供試牛のME摂取量を求めたところ、SF6トレーサー法によるメタンエネルギー損失量を用いたME摂取量は呼吸試験法の96~102%(平均100%)である(表2)。
以上のことから、SF6トレーサー法によるメタン発生量の測定値は、呼吸試験法による値と有意差がなく、代謝エネルギー摂取量測定にも十分利用できる。
成果の活用面・留意点 1.
SF6トレーサー法は、一般畜舎に繋留中あるいは放牧中の家畜にも適用できる。
2.
ハーネス、糞筒および尿導ホースを利用した全糞尿採取法と組み合わせることにより、一般畜舎に繋留中の反すう家畜の代謝エネルギー摂取量が測定可能となる。
3.
1回のカプセル投与により、連続1年程度の測定が可能であるが、それ以降はSF6の放出速度が一定でなくなるために、測定できなくなる。また、第一胃フィステル装着反すう家畜以外からのカプセル回収は不可能である。
図表1 226986-1.gif
図表2 226986-2.gif
カテゴリ 乳牛 山羊

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