タイトル | マウスの老化を抑制する作用を有するプロバイオティック乳酸菌H61株 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 | 2002~2005 |
研究担当者 |
木元広実 水町功子 小林美穂 鈴木チセ |
発行年度 | 2005 |
要約 | 乳製品製造に適した乳酸菌Lactococcus lactis subsp. cremoris H61株は、老化促進モデルマウスの老化に伴う皮膚の潰瘍発生および骨密度低下を抑制する。 |
キーワード | プロバイオティクス、乳酸菌、老化、骨密度、畜産物・品質 |
背景・ねらい | 高齢化社会の到来により、健康で長寿であることに対する関心が高まるなか、老化に伴う疾病の予防が望まれている。一方、乳酸菌は代表的なプロバイオティクス(宿主の健康維持に有益な働きをする微生物)として注目を集め、これまでに整腸作用、花粉症緩和作用、ピロリ菌抑制作用をもつことが報告されている。そこで本研究では乳酸菌を利用した老化予防食品開発のため、乳酸菌の老化抑制作用について明らかにすることを目的とする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 乳酸球菌Lactococcus lactis subsp. cremoris H61株は生乳由来株であり、乳製品製造に使用されてきた乳酸菌である。この死菌体(100℃、50分間熱処理)を凍結乾燥し、マウス配合飼料に0.05%濃度で混合した飼料を老化促進モデルマウス(老年性骨粗鬆症系、オス、9ヶ月齢、一群6-7匹)に5ヶ月間投与する。対照群は配合飼料のみを投与する。 2. H61株投与群では対照群に比べて老化の程度を表す老化スコアが低い(表1)。すなわちH61株投与による老化抑制効果が認められる。この効果は生菌けん濁液や発酵乳でも認められる。 3. H61株投与群では非投与群に比べて骨密度(マウス右大腿骨)が有意に増加する(表2)。乳酸菌L.lactis subsp. lactis G50株では効果が認められない。 4. 脾臓細胞の産生サイトカインのうちH61株投与群では対照群よりも細胞性免疫賦活に有用なIL-12およびIFN-γの産生量が高くなる(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 老化抑制作用を有する乳酸菌H61株を用いた発酵食品等、新規プロバイオティック食品の開発が期待できる(特許出願中)。 2. ヒトを対象として保健効果を科学的に検証するためには、ヒト試験等の実施が必要である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 |