タイトル |
製粉性、粉の色相及び収量性が改善されたもち性小麦新品種「もち姫」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
1995~2005 |
研究担当者 |
谷口義則
伊藤裕之
平 将人
前島秀和
吉川 亮
中村和弘
八田浩一
中村 洋
伊藤美環子
伊藤誠治
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発行年度 |
2006 |
要約 |
小麦「もち姫」はもち性で、「はつもち」と比べて、収量性、製粉性、粉の色相が改良された品種である。「ネバリゴシ」と比べて稈長は同程度、成熟期は2日遅いやや早生種で、青森県をはじめ寒冷地での地域特産的な用途向けに普及が見込まれる。
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キーワード |
コムギ、新品種、もち性、地域特産
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背景・ねらい |
1995年に世界で初めてのもち性小麦が4系統育成された。2000年にこれらが「はつもち」等として品種登録され、実証栽培と加工品試作が行われたが、製粉性や粉の色相、収量性等で改善すべき点が多く、東北・北陸地域では普及するには至らなかった。しかし、現在でも青森県において、地域特産品原料としてもち性小麦に期待が寄せられていることから、収量性及び品質を改良したもち性小麦の育成を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 小麦「もち姫」はもち性、高品質・安定多収を育種目標として1996年1月に東北農業試験場の温室にて「もち盛系C-D1478(後のはつもち)」を母とし、「F1=もち盛系C-G1517/盛系B-8605(後のハルイブキ)」を父として人工交配を行い、以後、系統育種法により選抜・固定を図ってきたものである。2005年に播種した世代はF11である。
- 「もち姫」は「はつもち」より耐寒雪性がやや優れ多収で、製粉性や粉の色相が大幅に改善されたもち性の品種である(表1)。
- その他、寒冷地の主力品種である「ネバリゴシ」と比較して次のような特徴がある(表1)。
- 播性はⅣで出穂期は2日早く、成熟期は2日遅い白ふのやや早生種である。
- 稈長は同程度のやや短稈種で耐倒伏性は中程度である。
- 耐寒雪性はやや弱く、穂発芽性はわずかに劣るやや難である。
- 収量はほぼ同程度である。
- 千粒重は同程度でやや小さく、外観品質は中の中である。
- 粒質は中間質で製粉歩留は同程度である。
- 粉の明るさはやや低く、白さはやや高い。
- ファリノグラフの吸水率は極く高く、バロリメーターバリューは同程度の中で、アミログラフの最高粘度は低いがブレークダウンは大きい。
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成果の活用面・留意点 |
- 寒冷地の平坦地に適する。
- もち性小麦粉の特長を活かした小麦粉せんべい、ケーキ、和菓子など地域特産的な用途が考えられている。
- 採種にあたっては、もち性であるので通常品種との交雑に注意する。
- 穂発芽性は「やや難」だが、登熟期の低温や長雨により穂発芽する危険があるので適期収穫に努める。
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図表1 |
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カテゴリ |
育種
加工
小麦
新品種
播種
品種
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