牛肉中の甘い香りを含む揮発性物質を迅速・簡便に測定する方法

タイトル 牛肉中の甘い香りを含む揮発性物質を迅速・簡便に測定する方法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2006~2008
研究担当者 渡邊 彰
樋口幹人
柴 伸弥
今成麻衣
上田靖子
発行年度 2008
要約 融解した僅か0.2gの脂肪を用いて、加熱時に生じる香りを微量固相抽出ファイバーにより採取する。これをGCMS分析することで、酸化臭(アルデヒド類)、牧草臭(テルペノイド類)、甘い香り(ラクトン類やエステル類)などを測定することができる。
キーワード 牛肉、香り、SPME、GCMS、揮発性物質
背景・ねらい 食肉の香りは品質評価のうえで極めて重要な要素である。一般的に香気分析には数百グラムのサンプルと数時間の抽出作業が必要であるが、近年開発された微量固相抽出(SPME)ファイバーは、少量サンプルで短時間に抽出作業ができることから様々な分野で使用されている。しかし何を分析するかによって抽出条件を検討する必要がある。そこで、本成果情報はSPMEによる脂肪を含む牛肉の香気分析法の開発を目指したものである。
成果の内容・特徴
  1. 図1に従って調製し、融解した脂肪0.2gを10mLのボトルへ移す。図2に示した装置を用いてボトルを100℃に加熱して、発生する揮発性成分をヘリウムガスパージによりSPMEファイバー(DVB/CAR/PDMS)で30分間採取し直ちに分析することが出来る。分析装置はDB-5MSカラム(30m×0.32mm×1.0μm)を装着したGCMSにより行う。
  2. 成分の同定はマススペクトルライブラリーとの類似度および既報または標準品のリニアリテンションインデックス値(LRI)との比較により実施する。表1に同定された成分と変動係数(CV%)による再現性を示す。ラクトン類は類似度が低いが、標準品のLRIと固有イオンから同定が可能で、固有イオンによる測定で低いCVを得ることが出来る。ただし、δ-ヘキサデカラクトン及びフィテン1は標準品や文献値がなくLRIによる比較は行っていない。
成果の活用面・留意点
  1. 表1に示した物質以外にも、甘い香りとして2-ペンチル-フラン(LRI=992)やブチロラクトン(LRI=917)が検出されることもある
  2. アルデヒド類の測定が出来るので脂質酸化の程度も同時に判断できる。
  3. 微量サンプルで分析できることから、高価な牛肉に対する調査や香り発生のメカニズムの研究、また、バイオプシサンプルでも分析が可能なことから生体での挙動など様々な場面での活用が期待される。
  4. 定量分析の場合は、標準品を用いて検量線を作成する必要があるが、酸化防止剤など人為的に高濃度の物質を添加したサンプルでは添加量がSPMEの捕集能力を超えることがあり、正しい検量線が作成出来ないことがあるので注意を要する。
図表1 232801-1.gif
図表2 232801-2.gif
図表3 232801-3.gif
図表4 232801-4.gif
図表5 232801-5.gif
図表6 232801-6.gif
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