水稲系統「北海287号」「北海PL9」の低アミロース性遺伝子と選抜マーカー

タイトル 水稲系統「北海287号」「北海PL9」の低アミロース性遺伝子と選抜マーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2004~2009
研究担当者 安東郁男
竹内善信
佐藤宏之
青木法明
鈴木保宏
平林秀介
黒木 慎
清水博之
安藤 露
発行年度 2009
要約 「北海287号」の低アミロース性は第6染色体上の新規遺伝子Wx1-1に支配され、「北海PL9」のそれは第9染色体短腕上の遺伝子座qAC9.3に支配される。両遺伝子は、各々DNAマーカーWxU1L3およびRM23804によって選抜できる。
キーワード やや低アミロース、良食味、QTL、DNAマーカー、遺伝子
背景・ねらい アミロース含有率は炊飯米の食味を決定する主要成分であり、適度な低アミロース性の付与は良食味品種育成の重要な手法である。しかし、アミロース含有率は登熟温度等の環境要因の影響を受けやすく、また測定には一定量の米サンプルが必要であるなど、成分測定による含有率の微細な改変は繁雑であった。そこで、環境要因に左右されず幼苗でも選抜可能なDNAマーカーによる高効率・高精度の低アミロース米育種技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 良食味水稲品種「おぼろづき」の親系統「北海287号」の低アミロース性は、第10イントロンに37塩基の欠失を持つ第6染色体上の新規遺伝子Wx1-1に支配される(図1)。Wx1-1は、欠失を指標に設計したDNAマーカーWx-U1L3によって選抜できる(図2)。プライマーの塩基配列は、Wx-U1:CAGGCTGGAGGAACAGAAGG、およびWx-L3:TCACCTTGCCCGGATACTTCである。
  2. 耐冷性中間母本系統「北海PL9」の低アミロース性は、第9染色体短腕上の遺伝子座qAC9.3に支配される(図3)。本遺伝子座の北海PL9型対立遺伝子は、近傍のDNAマーカーRM23804を用いて選抜できる。
  3. 「北海287号」/「北海PL9」の交配後代においては、Wx1-1はアミロース含有率を7~8ポイント低下させる。qAC9.3座の北海PL9型対立遺伝子はアミロース含有率を2~3ポイント低下させる。2つの遺伝子は相加的に働く(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で得られた遺伝情報およびDNAマーカーは、「北海287号」および「北海PL9」を供与親とした低アミロース性を選抜育種するのに利用できる。
  2. RM23804マーカーは、International Rice Genome Sequencing Project (2005, Nature 436:793-800) によって開発・公開されているものである。
  3. 本研究は、「北海287号」/「北海PL9」の後代系統を作物研究所圃場で栽培して得られた結果であり、検出された2遺伝子のアミロース低減効果は地域毎に再確認する必要がある。
  4. Wx1-1の遺伝子情報の活用には許諾が必要である。
図表1 233773-1.png
図表2 233773-2.png
図表3 233773-3.png
図表4 233773-4.png
カテゴリ 育種 水稲 DNAマーカー 品種 良食味

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