炊飯後に褐変しにくく、食味に優れる二条裸麦新品種「キラリモチ」

タイトル 炊飯後に褐変しにくく、食味に優れる二条裸麦新品種「キラリモチ」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2000~2009
研究担当者 柳沢貴司
長嶺 敬
高橋飛鳥
高山敏之
土井芳憲
松中 仁
藤田雅也
発行年度 2009
要約 裸麦新品種「キラリモチ」はプロアントシアニジンフリー(ant28)の特性を有し、炊飯後に褐変しにくい。もち性であるため食味に優れ、通常の系統に比べてβ-グルカン含量が高い。オオムギ縞萎縮病、うどんこ病に抵抗性である。
キーワード 二条ハダカムギ、プロアントシアニジンフリー、もち性、低褐変、β-グルカン
背景・ねらい 通常の大麦は炊飯後に褐変を生じやすく、主食用に炊飯後の白度が高い品種が望まれている。褐変にはポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンが関与する。またもち性系統は、炊飯麦が粘弾性に富み食味が良くなり、食物繊維のβ-グルカン含量が高まる。β-グルカンには健康維持機能があることが知られている。そこでプロアントシアニジンフリー(ant28)特性ともち性(アミロースフリー)の特性を両方有し、機能性成分であるβ-グルカン含量も通常の品種に比べて高い特徴を持つ品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「キラリモチ」は、2000年7月に「四国裸103号」(後の「ユメサキボシ」)と大系HL107(後の「とちのいぶき」)のF1を母親とし、「四国裸97号」(アミロースフリーのもち性)を父親として人工交配し、系統育種法で育成された。2008年度の世代は雑種第10代である。
  2. 二条並性で播性の程度はIである。「イチバンボシ」と比べると出穂期は同程度で成熟期は3日遅い。「ユメサキボシ」と比べると出穂期、成熟期ともに2日早い(表1)。
  3. 稈長は「イチバンボシ」より短く、穂数は多い。「ユメサキボシ」と比べると穂長、穂数は同程度であり、耐倒伏性は「強」である(表1)。
  4. 大麦縞萎縮病抵抗性、うどんこ病抵抗性は「極強」で、赤かび病抵抗性は「やや強」である。穂発芽性は「易」である(表1)。
  5. 子実重と整粒重は「イチバンボシ」「ユメサキボシ」に劣る(表1)。
  6. 60%搗精試験による精麦白度は「イチバンボシ」「ユメサキボシ」よりやや優る。精麦時間は長くかかり、砕粒率は低い(表1)。
  7. 60%精麦の全ポリフェノール含量は「イチバンボシ」「ユメサキボシ」の半分でプロアントシアニジンはほとんど含まれない。精麦の炊飯保温後のa*、L*の変化は少なく(表1)、褐変しにくい(写真1)。
  8. 60%精麦のβ-グルカン含量は「イチバンボシ」「ユメサキボシ」に比べて高い(表1)。
  9. 60%精麦の食味試験では「イチバンボシ」「ユメサキボシ」と比べて白さ、粘り、味がかなり優れる。硬さは軟らかく、香りはやや優れる(表2)。
  10. アミロースフリーのもち性の特性を示し、「ダイシモチ」と区別できる(写真2)。品種の長所についてマーキングする(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 関東以西の平坦地に適する。
  2. 穂発芽性は「易」なので、適期収穫を徹底する。
  3. 開花性であるので、赤かび病の防除は開花期に行う。
図表1 234109-1.png
図表2 234109-2.png
図表3 234109-3.png
図表4 234109-4.png
カテゴリ 病害虫 育種 萎縮病 うどんこ病 大麦 機能性成分 新品種 抵抗性 はだか麦 品種 防除 良食味

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