育苗器を利用した水稲種子の休眠打破法

タイトル 育苗器を利用した水稲種子の休眠打破法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2007~2010
研究担当者 白土宏之
大平陽一
福嶌陽
持田秀之
福田あかり
山口弘道
片山勝之
発行年度 2010
要約 水稲種子を入れて口を横向きに折ったポリエチレン製袋を、40℃に設定した蒸気式育苗器に5日から7日間入れることにより休眠を打破できる。
キーワード 水稲、休眠打破、育苗器、発芽
背景・ねらい 東北農業研究センターでは直播向き水稲品種「萌えみのり」を2006年に育成し、直播栽培技術の開発と普及を進めているが、従来の品種より出芽が遅い事例がある。その原因は、「萌えみのり」が一般品種より春における種子の休眠が深いことが一因である。しかし、従来の休眠打破法である5日から7日間の50℃乾熱処理は、生産者が実施することが難しい。そこで、生産者が休眠打破処理を実施できるように、水稲用蒸気式育苗器を利用する休眠打破方法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 日本型品種で休眠が強い「萌えみのり」や「ひとめぼれ」では採種した秋においても蒸気で加温した40℃の蒸気式育苗器による7日間処理で休眠打破できる(図1)。非常に休眠が強いインド型品種「タカナリ」では育苗器7日間では、発芽試験7日目の発芽率が88%であり、効果が十分ではない可能性がある。
  2. 休眠が弱まった採種翌年の種子では「萌えみのり」、「タカナリ」とも40℃育苗器・5日間処理で7日間処理と同程度の休眠打破効果が得られる(図2)。
  3. 実用規模で処理する場合、種子5kg入りの網袋を45Lポリエチレン製袋(以下ポリ袋)に2つ入れ、口を横向に折り、苗箱に載せる(図3)。この苗箱を蒸気で加温した40℃の育苗器に7日間入れることで、休眠打破できる(図4)。処理により種子水分が14.0%から14.6%に上昇するが、保存に支障がない範囲であり、カビの発生もない。
成果の活用面・留意点
  1. 催芽をしない栽培法、特に慣行の鉄コーティング直播栽培や乾田直播栽培で、休眠の強い品種を栽培する場合に用いる。
  2. 育苗器3段で1セット処理できる。14段棚がある120型育苗器の場合、計算上は160kgの種子が一度に処理できる。
  3. 種子が水滴で濡れると処理中に発芽するので、水がポリ袋に入らないように注意する。
  4. 処理後、結露しないように種子袋をポリ袋から速やかに出す。
  5. 未消毒種子を用いた結果であるので、種子消毒前に実施する。休眠打破後、ペフラゾエート水和剤の0.5%湿粉衣処理では薬害は生じない。
  6. 無処理種子の発芽率が0%に近いような、休眠が非常に強いインド型品種では効果が不十分な可能性がある。
図表1 234697-1.png
図表2 234697-2.png
図表3 234697-3.png
図表4 234697-4.png
カテゴリ 育苗 乾田直播 直播栽培 種子消毒 水稲 品種

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