植物・微生物遺伝資源情報と一体的にリンクした日本植物病名データベース

タイトル 植物・微生物遺伝資源情報と一体的にリンクした日本植物病名データベース
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2006~2011
研究担当者 竹谷勝
山崎福容
埋橋志穂美
澤田宏之
永井利郎
富岡啓介
佐藤豊三
青木孝之
河瀬眞琴
発行年度 2011
要約 日本植物病名データベースは、10,000を超す植物病名を病名・植物(宿主)・病原(微生物等)の3要素から柔軟検索することができる国内の唯一のデータベースで、農業生物資源ジーンバンク事業のWebサイトで公開されている。本データベースは、宿主から植物遺伝資源、病原から微生物遺伝資源へと病名ごとに遺伝資源データベースへのリンク機能を有する。
キーワード 植物病名、遺伝資源、データベース、ジーンバンク
背景・ねらい 農業生物資源ジーンバンクが保存する微生物遺伝資源には、日本産の植物病原微生物のリファレンスとなる株が多数あり、植物病害研究、分類同定、育種、農薬開発などの研究への需要が高い。また、植物遺伝資源と微生物遺伝資源には、耐病性や病原性など病害関連の特性が記録されているものが多数あり、その記録事項はWeb検索システムから特性情報として公開している。しかし、病害に関する情報については植物と微生物でこれまでは個別の異なったデータセットとして管理しており、宿主と病原という遺伝資源にとって重要な相互関係が十分に反映されていなかった。そこで、日本で確認された植物病害を網羅的に収録する日本植物病理学会編集の「日本植物病名目録」をデータベース化し、内容を精査するとともに使用学名をコード化し、最新の分類も考慮して、遺伝資源データベースにリンクさせることによって、植物と微生物を効果的につなぐ情報システムの構築に取り組み、ユーザの利便性を向上させる。
成果の内容・特徴
  1. 日本植物病理学会より転載許可を得て、同学会編集の「日本植物病名目録」および追録・正誤表に記載された宿主、病名、病原、関連文献などの情報をリレーショナルデータベースの形に再構成し、さらに病原の種類(「菌類」「細菌」「ウイルス」等の区分)についてデータを新規作成・追加して日本植物病名データベースを開発した。本データベースには、宿主が1,957件、病名が11,406件登録されている(平成24年1月16日現在)。
  2. 検索条件の入力画面には、病名・植物(宿主)・病原(微生物等)の3項目の入力欄を設け、すべての入力条件を満たす病名を検索できる。それぞれの項目は、部分一致、複数指定、および入力候補表示の入力補助機能が実装され、柔軟な検索に対応する(図1)。
  3. 病原と微生物遺伝資源の対応付けは学名の照合かつ宿主と分離源の一致により確認して設定した。宿主と植物遺伝資源の対応付けは、植物名が符合し、かつ耐病性の特性評価が実施されている植物遺伝資源に対して設定した。本データベースから遺伝資源データベースへのリンク機能は検索結果の詳細情報画面にある「関連菌株」と「関連宿主」に設けた。また、微生物遺伝資源Web検索システムには、詳細情報画面の特性が「病原性」である場合、または文献として病原性が報告されている場合、本データベースの対応病名へのリンク機能を設けた。これらリンク機能を組み込んだため、植物病理研究に適した実験試料セットとして関連する植物と微生物遺伝資源の検索と配布申込が容易である(図1)。
  4. 農研機構花き研究所の「花き類病害の診断・防除」サイトと病名ごとにリンク機能を構築したため病徴写真や防除法などを参照可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 本データベースは、遺伝資源データベースへのリンクにより微生物のバーコード遺伝子領域のDNA塩基配列データなど、ゲノム関連情報の取得が容易になることから、植物病理の研究者による利用だけではなく、多様な研究目的にかなった利活用が期待できる。
  2. 今後、病徴や防除の情報を一層充実させるため共同する外部関連サイト数を増やしていくが、ジーンバンクに保存される固有の遺伝資源についての特性情報が有用であることから、自前の画像や解説コンテンツの作成・公開を検討する。
図表1 235254-1.jpg
研究内容 http://www.nias.affrc.go.jp/seika/nias/h23/nias02305.htm
カテゴリ 病害虫 育種 遺伝資源 データベース 農薬 防除

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