幼若ホルモンによる変態抑制遺伝子の発現誘導機構の解明とその利用

タイトル 幼若ホルモンによる変態抑制遺伝子の発現誘導機構の解明とその利用
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2007~2012
研究担当者 粥川琢巳
水口智江可
並木俊樹
外川 徹
芳山三千代
神村 学
三田和英
今西重雄
木内 信
石川幸男
篠田徹郎
発行年度 2012
要約 カイコ培養細胞を用いて、幼若ホルモン(JH)による昆虫変態抑制遺伝子Krüppel homolog 1Kr-h1)の発現誘導機構を明らかにした。JHが存在すると、JH受容体Metがステロイド受容体活性化補助因子SRCと複合体を形成し、Kr-h1遺伝子上流のJH応答配列(JHRE)に結合することで転写を誘導する。本システムを利用してJHアゴニスト・アンタゴニストのスクリーニングが可能である。
キーワード 幼若ホルモン、Krüppel homolog 1、変態、カイコ、昆虫成長制御剤
背景・ねらい 幼若ホルモン(JH)は昆虫の脱皮・変態・生殖等を制御する昆虫特異的なホルモンで、昆虫のグループによってその構造に差がある。そのため、選択性の高い殺虫剤開発の標的として注目されているが、その作用機構には不明な点が多い。本研究では、JHの分子作用機構を明らかにし、JH活性を持つ物質(JHアゴニスト)やJH活性を抑える物質(JHアンタゴニスト)のスクリーニング系を開発するために、カイコ培養細胞を用いて、JHによって誘導され変態を抑制する遺伝子Krüppel homolog 1Kr-h1)の転写調節機構の解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. カイコのKr-h1をクローニングし、カイコ個体およびカイコの培養細胞において、JHによってKr-h1の発現が誘導されることを明らかにした。また、カイコから2種類のJH受容体遺伝子Met、およびそのパートナー分子であるステロイド受容体活性化補助因子遺伝子SRCをクローニングした。
  2. カイコ培養細胞を用いたレポーターアッセイによって、カイコのKr-h1の上流域から、JH応答に必須のDNA配列(JH応答配列;JHRE)を特定した(図1)。
  3. ヒト培養細胞を用いた解析により、MetがJHを受容すると、SRCと複合体を形成してJHREに結合することで、Kr-h1の転写を活性化することを明らかにした(図2)。
  4. ショウジョウバエ、ミツバチ、甲虫(コクヌストモドキ)、アブラムシなど、ゲノム情報がわかっているすべての昆虫種にMetとSRCが存在し、またKr-h1の上流にはカイコJHREと類似の配列が存在した。このことから、JH応答配列とMet/SRCタンパク質複合体を介した、JHによるKr-h1の誘導機構は、昆虫に共通なメカニズムであると考えられる。
  5. カイコ培養細胞とJHREを利用して、JHアゴニストおよびJHアンタゴニストの効率的なスクリーニングシステムを開発した(図3)。本スクリーニング系を利用してチョウ目害虫に対する新規な昆虫制御剤の探索が可能となる。
成果の活用面・留意点
  1. 今後、トビイロウンカ等の重要害虫で、Kr-h1のJH応答配列やMetSRCをクローニングすることにより、これらを利用した害虫種選択的なJHアゴニスト・アンタゴニストの効率的スクリーニング系の確立、及びスクリーニング系を用いた選択性の高い殺虫剤の開発が期待される。
図表1 235367-1.gif
図表2 235367-2.gif
図表3 235367-3.gif
研究内容 http://www.nias.affrc.go.jp/seika/nias/h24/nias02411.html
カテゴリ カイコ 害虫 ミツバチ

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