日本の輸入植物検疫のための病害虫リスクアナリシス(PRA)のフレームワーク

タイトル 日本の輸入植物検疫のための病害虫リスクアナリシス(PRA)のフレームワーク
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2010~2012
研究担当者 大藤泰雄
酒井啓充
澤田 守
上松 寛
鈴木清樹
関本茂行
田平 剛
木浦卓治
守屋成一
渡邊朋也
樋口博也
本多健一郎
森本信生
今崎伊織
一木珠樹
望月 淳
山中武彦
山村光司
西田智子
発行年度 2013
要約 輸入許可制を採らない我が国の植物検疫制度に適したPRAのフレームワークは、検疫有害動植物リスト作成のための病害虫種を対象とするPRAと、検疫措置を決めるための経路を対象とするPRAの組み合わせからなる。
キーワード 輸入植物検疫、病害虫リスクアナリシス、PRA、IPPC、ISPM
背景・ねらい 日本未発生の病害虫に対して、それらの日本農林業へのリスクを適切に評価し、科学的妥当性をもって検疫措置を実施する事は、我が国の食料安定供給のために必要不可欠で、かつ、国際社会における諸外国との良好な関係を維持するための重要な事業である。一方、国際植物防疫条約(IPPC)加盟国が植物検疫を実施するためには、科学的根拠に基づく病害虫リスクアナリシス(PRA)の結果に基づき、検疫対象となる病害虫リスト(ポジティブリスト)を提示し、そのリスクに応じた措置をとることが求められており、そのための病害虫リスクアナリシスの手順書を整備することが我が国の植物検疫行政において喫緊の課題となった。そこで、我が国の植物検疫に適しており、かつ国際基準に準じた病害虫リスクアナリシスのフレームワークを策定することで、植物検疫行政に貢献する。
成果の内容・特徴
  1. 諸外国及び我が国の植物検疫制度を比較・分析し、PRAの役割と求められる要件を整理し、科学的根拠に基づく検疫対象のリスト化から検疫措置の決定までの工程を整理した(図1)。輸入許可制を採らない我が国の植物検疫制度においては、病害虫種を対象とするPRAを行い、ポジティブリストを作成したのち、経路別の管理措置決定のために、病害虫ごとに経路対象のPRAを行うことが必要である。
  2. FAO(国際連合食糧農業機関)が定める侵入病害虫リスクの定義(侵入病害虫リスク=「入り込みの可能性」×「定着の可能性」×「まん延の可能性」×「影響の大きさ」)と、海洋により隔離されている我が国の地理的特性に基づき、輸入検疫措置により管理する「入り込みの可能性」の評価工程を、国内検疫により管理する「定着・まん延の可能性」及び「経済的影響の大きさ」の評価工程から分離し、それぞれの工程をモジュールとして独立させた日本型PRAのフレームワークを策定した(図2)。モジュール毎に得られる結果をリスクマトリクス(図3)によって統合する事で病害虫種を対象とするPRAを可能にしながら、その一部を使い輸入検疫と国内検疫それぞれにおいて経路を対象とするPRAによる管理措置の意思決定支援にも対応できるフレームワークである。植物衛生管理措置の国際標準(ISPM No.2およびNo.11)、およびリスクマネージメントに関する国際規格ISO31000に準拠したこのフレームワークに基づきリスク評価手順を策定することで、我が国の植物検疫制度に求められる国際的な基準に準拠したリスクアナリシスが可能となる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:農林水産省植物防疫所および植物検疫にかかる行政部局
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:日本全域
  3. その他:本成果は、すでに、これを元に横浜植物防疫所が策定した手順書を用いたPRAを通じて、検疫有害動植物リストの改正等の省令改正(平成24年7月)に活用されている。
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図表2 236416-2.jpg
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図表6 236416-6.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/narc/2013/13_042.html
カテゴリ 害虫 植物検疫

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