ブドウ果皮のアントシアニン含有量に関与する新規遺伝子座

タイトル ブドウ果皮のアントシアニン含有量に関与する新規遺伝子座
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2009~2014
研究担当者 伴雄介
三谷宣仁
林武司
佐藤明彦
東暁史
河野淳
小林省藏
発行年度 2014
要約 二倍体欧米雑種ブドウの果皮アントシアニン含有量に関連する遺伝子座は、既知のMYB遺伝子座以外に2つ存在する。この2つの遺伝子座は、MYB遺伝子座とは異なる第8および第14連鎖群に座乗する。
キーワード 欧米雑種ブドウ、アントシアニン、連鎖地図、QTL解析、MYBハプロタイプ
背景・ねらい ブドウ果皮におけるアントシアニン蓄積の有無やアントシアニン含有量は、MYB様転写因子が2つ並列にならんだMYBハプロタイプの構成により決定されることが明らかとなっている。しかし、同じMYBハプロタイプ構成である個体において、アントシアニン含有量にばらつきが見られる。これは、MYBハプロタイプ以外の要因がアントシアニン含有量に関与していることを示唆している。そこで、二倍体欧米雑種ブドウ実生集団を用いて、アントシアニン含有量の広義の遺伝率を推定する。さらに、連鎖地図を作成してQTL(Quantitative Trait Loci)解析を行い、新規着色関連遺伝子座を探索する。
成果の内容・特徴
  1. 欧米雑種ブドウF1集団(626-84×育82)のMYBハプロタイプは、626-84がA/E1、育82がA/C-Rsであるため4通りに分離する。F1集団89個体のアントシアニン含有量は、MYBハプロタイプ構成ごとに差が見られ、A/Aだと着色しない。しかし、着色個体のアントシアニン含有量は、同一ハプロタイプ構成でもばらつきがあり、特にC-Rs/E1で大きい(図1)。
  2. F1集団42個体について4年間のアントシアニン含有量の測定データを用いて算出した広義の遺伝率は高い(表1)。このことは、アントシアニン含有量の環境変異は小さく、個体間のばらつきは遺伝的要因から生じることを示す。
  3. F1集団98個体を用いて、SSR(Simple Sequence Repeat)マーカーとMYBハプロタイプによる遺伝子型の解析を行うと、全長743.9~1085.3cM、マーカー数155~213からなる連鎖群数がブドウの染色体基本数19に収束した連鎖地図が作成される(表2)。この連鎖地図は、生食用の欧米雑種ブドウについて初めて作成されたものである。
  4. 作成した連鎖地図を用いてQTL解析を行うと、LOD値が統計的に有意で寄与率の高いQTLとして第2連鎖群にMYBハプロタイプが検出される。さらに、第8連鎖群と第14連鎖群にも有意なQTLが検出される。これら2つのQTLは、アントシアニン含有量に関与する新たな遺伝子座の可能性がある(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 2つの新規着色遺伝子座とMYBハプロタイプを組み合わせることで、アントシアニン含有量に関してより効率的なDNAマーカー選抜を実施できる可能性がある。
  2. 作成した欧米雑種ブドウの連鎖地図は、アントシアニン含有量以外の形質についてのQTL解析にも利用可能である。
  3. 2つの新規着色遺伝子座のアントシアニン含有量への関与は、他の欧米雑種ブドウ実生集団を用いて検証する必要がある。
図表1 237031-1.jpg
図表2 237031-2.jpg
図表3 237031-3.jpg
図表4 237031-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2014/fruit14_s06.html
カテゴリ DNAマーカー ぶどう

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