自家和合性で良食味のニホンナシ新品種「なるみ」

タイトル 自家和合性で良食味のニホンナシ新品種「なるみ」
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 1996~2015
研究担当者 齋藤寿広
高田教臣
澤村豊
壽和夫
西尾聡悟
平林利郎
佐藤明彦
正田守幸
加藤秀憲
寺井理治
西端豊英
樫村芳記
尾上典之
鈴木勝征
内田誠
発行年度 2015
要約 「なるみ」は、大果で中生の食味良好なニホンナシ新品種である。「おさ二十世紀」由来の自家和合性を有し、人工受粉の省力化が可能である。「豊水」より大果であり、果実品質は「豊水」と同程度で、みつ症の発生が少ない。
キーワード ニホンナシ新品種、自家和合性、良食味
背景・ねらい ほとんどのニホンナシは自家不和合性であり、結実確保のためには受粉樹の混植や人工受粉が必須となっている。人工受粉作業は開花時の短期間に行う必要があるため、労働集約性が非常に高く、省力化が求められている。「二十世紀」の枝変わりである「おさ二十世紀」は、自家和合性を有するため、人工受粉を省力可能である。そこで、「おさ二十世紀」を母本として自家和合性を有する良食味の品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 1996年に農林水産省果樹試験場(現 農研機構果樹研究所)において中生の果実品質良好な162-29(「新高」×「豊水」)に、自家和合性を有する269-21(「豊水」×「おさ二十世紀」)を交雑して得られた実生から選抜した。2007年から2014年までナシ筑波57号としてナシ8回系統適応性検定試験に供試してその特性を検討し、2015年2月の同試験成績検討会において新品種候補とした。2015年6月3日に品種登録出願し、11月27日に出願公表された。
  2. 樹勢はやや強く、枝梢の発生は中程度で「豊水」よりは少ない(表1)。短果枝の着生は多く、えき花芽の着生は中程度である。開花中央日と収穫日は「豊水」と同時期である。
  3. 果形は扁円形、果実の大きさは625gで「豊水」より大きい(図1、表2)。果肉硬度、糖度は「豊水」と同程度で、pHは若干高く酸味が少ない。みつ症の発生はみられない。年により心腐れが発生する場合があるが、その程度は軽微である。
  4. S遺伝子型はS4smS5である。人工自家受粉による自家結実率は68.3%であり、「おさ二十世紀」由来の花柱変異型の自家和合性を有する(表3)。このため、開花時にぼん天のみの受粉作業での結実が期待でき、花粉の準備が不要となる点で省力化が可能である。さらに、自然受粉下での結実率も55.8%であり、人工受粉をしなくても十分な結実が見込める。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:ニホンナシ生産者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:全国のニホンナシ栽培地帯で栽培可能であり、人工受粉の省力化が可能な、中生の果実品質良好な品種として有望である。(許諾苗木生産業者数:10県、36業者)
  3. その他:苗木販売は2016年秋季から開始予定。樹や枝の枯死、胴枯れ症状が全国的に認められる。その原因等について検討が必要である。黒星病が多発するとの報告が複数あり、耕種的防除を含めた対策が必要である。花粉側に自家和合化の変異は認められず、主要品種の中では「幸水」(S4S5)に対して交雑不和合性を示す。
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研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/fruit/2015/15_034.html
カテゴリ 病害虫 黒星病 受粉 省力化 新品種 苗木生産 品種 防除 良食味

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