プロテオミクスによる脂肪細胞分泌因子のプロファイル

タイトル プロテオミクスによる脂肪細胞分泌因子のプロファイル
担当機関 (国研)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産研究部門
研究期間 2012~2016
研究担当者 尾嶋孝一
大江美香
中島郁世
室谷進
西邑隆徳
発行年度 2016
要約 マウス脂肪細胞(3T3-L1)の分化過程で分泌する因子のプロファイルを作成した結果、脂肪細胞は分化初期から中期にかけてはコラーゲン等の細胞外マトリックス構成成分を多く分泌し、分化後期においてはアディポカインを分泌する。
キーワード 脂肪細胞、分泌因子、網羅的解析、細胞外マトリックス
背景・ねらい 食肉の主体である家畜骨格筋組織は骨格筋細胞、脂肪細胞、血管内皮細胞、神経細胞など多様な細胞で構築される。食肉の品質(赤肉量、脂肪交雑(霜降り))は骨格筋細胞および脂肪細胞の量と分布により決定されるため、骨格筋形成過程における骨格筋細胞および脂肪細胞の動態を研究することは重要である。一方、脂肪細胞は内分泌作用を持つため脂肪細胞が出す分泌因子が脂肪交雑(霜降り)形成過程で骨格筋細胞などに作用している可能性がある。そこで、本研究では家畜の脂肪交雑(霜降り)形成メカニズム解明に向けて脂肪細胞由来の分泌因子に着目し、マウスをモデルとして分化過程で分泌される因子の種類を明らかにすることを目的とする。そのためにプロテオームの手法を用いて分泌因子の網羅的発現解析を行い、発現プロファイルを提示する。
成果の内容・特徴
  1. 脂肪細胞の分泌因子プロファイルは、分化・成熟が進行する過程の培養マウス脂肪細胞(3T3-L1)において得られたものである。培養の各段階での培養上清を試料とし、培養液中に分泌されたタンパク質を回収する。培養上清は、血清由来のコンタミネーションを最小限にするために、血清不含の培養液で培養細胞を洗浄後、2日間培養したものである。
  2. 濃縮した試料を質量分析用に調製し、相対的な定量を行うためにiTRAQ標識を行う。Strong Cation Exchangeカラム、およびReverse Phaseカラムにより二次元展開を行い、約1300のフラクションに分離する。各フラクションをMALDI用プレートへスポッティング後、MALDI TOF/TOF質量分析計(ABSciex 4800)にて測定を行う。
  3. 質量分析によりMSシグナルからMS/MSを測定し、データベースサーチにより網羅的にタンパク質やペプチドを同定する。作成された分泌因子プロファイルは、合計10,244本のMSシグナル全てを解析して得られた215個のタンパク質/ペプチドからなり、そのうち約38%のシグナルペプチドを持つ分泌因子である。分泌因子には細胞外マトリックス構成成分、成長因子に関連する分子、内在性タンパク質分解酵素阻害因子などを含む(図1)。
  4. 分化2日目の発現量を基準として、各過程での発現量を標準化し相対定量を行い、発現パターンを解析すると4つの分泌パターンがある。分化初期においては血管新生を誘引する因子を多く分泌し、細胞接着の足場となるI型およびIII型コラーゲンなどの細胞外マトリックス構成成分も多く分泌する。分化中期では基底膜構成成分、分化が進むにつれてアディポカインを分泌する(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. プロテオミクスの手法で作成した分泌因子のプロファイルは脂肪細胞由来の分泌因子の効果を探索するための研究基盤として活用できる。
  2. 見出した分泌因子の各細胞に与える具体的な効果(血管新生誘引など)を確認する必要がある。また、マウス以外の他動物種の脂肪細胞については、条件や結果が一部異なる場合がある。
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/4th_laboratory/nilgs/2016/nilgs16_s02.html
カテゴリ データベース

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