タイトル |
晩生で多収の良食味水稲新品種候補系統「あきあかね」 |
担当機関 |
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業研究センター |
研究期間 |
2005~2017 |
研究担当者 |
前田英郎
笹原英樹
松下景
長岡一朗
山口誠之
三浦清之
重宗明子
後藤明俊
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発行年度 |
2017 |
要約 |
「あきあかね」は、食味が優れる水稲粳系統である。収量性に優れ、大粒で炊飯米の外観、なめらかさ、粘りにすぐれるため、中食・外食などへの利用が期待される。寒冷地南部では晩生に分類され、中生の主力品種「コシヒカリ」との作期分散が可能である。
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キーワード |
イネ、業務用、晩生、多収、良食味、作期分散
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背景・ねらい |
現在、主食用米の3割が外食・中食産業で消費されており、外食での店内炊飯や中食での弁当等に適する米の開発が求められている。また、農業法人等の大規模化とともに移植時期・収穫時期を広く分散できる品種に対する要望が高まっていた。これらの要望に応えるため、「コシヒカリ」より晩生で、収量性が高く、炊飯米の外観が良い中食・外食用途に適した良食味品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「あきあかね」は、晩生の良食味多収品種の育成を目的として、「収7388」を母として「中部109号」を交雑した後代から育成した品種である。
- 出穂期、成熟期は「日本晴」より2日程早く、育成地では"晩生"に属する。稈長は「日本晴」より4cmほど長く、穂数は「日本晴」よりやや少ない。耐倒伏性は"やや強"である(表1)。
- 収量性は「日本晴」に優り、標肥で18%、多肥で13%程度多収となる(表1)。玄米千粒重は「日本晴」よりやや大きい。玄米品質は、「日本晴」と同程度かやや劣る"中中"である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子はPii, Pikで、葉いもち、穂いもち圃場抵抗性はいずれも"中"である。白葉枯病抵抗性は"中"、縞葉枯病に対しては"罹病性"、高温耐性は"やや強"、穂発芽性は"やや難"である(表1)。
- 食味は、外観、なめらかさ、粘りに優れ、総合評価は「あきだわら」を上回り、「コシヒカリ」と同等の良食味である(表1)。
- 各県の奨励品種決定調査では、食味総合評価値は基準品種「コシヒカリ」または「ヒノヒカリ」と同等の値を示す場合が多く、極めて食味に優れる(図1)。収量性においては、対照品種(100%)に対して同等からやや優る事例(平均103%)が多い(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 普及対象:水稲生産者・水稲生産法人等
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:新潟県の業務用品種としての位置づけで種子増殖および普及を行う予定であり、初年度の2018年に新潟県内で100ha規模の作付けが見込まれている。栽培適地は北陸以西の地域である。
- その他:栽培に際しては以下のことに注意が必要である。縞葉枯病に罹病性であるため、被害が予想される地域では防除を徹底する。耐倒伏性は"やや強"であるが、過剰な施肥では倒伏しやすくなり、食味も低下するため、地力に応じた施肥を心がける。
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研究内容 |
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/popular/result010/2017/17_037.html
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
高温耐性
縞葉枯病
新品種
水稲
施肥
大規模化
多収良食味
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
良食味
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