フルクタン含量に注目したオオムギの越冬性に関わるDNAマーカー

タイトル フルクタン含量に注目したオオムギの越冬性に関わるDNAマーカー
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2017~2021
研究担当者 中田克
関昌子
青木秀之
長嶺敬
平将人
谷中美貴子
発行年度 2021
要約 オオムギの越冬前の茎葉におけるフルクタン含量と越冬性には高い正の相関がある。フルクタン含量が高い品種・系統に共通するフルクタン関連酵素遺伝子群の遺伝子型を判別するDNAマーカーを用いて、越冬性が優れるオオムギ系統を効率的に選抜できる。
キーワード オオムギ、越冬性、フルクタン、フルクタン関連酵素遺伝子、DNAマーカー
背景・ねらい 寒冷地向けオオムギは長期積雪下でも生存しうる高い越冬性を備える必要がある。越冬前の茎葉におけるフルクタン含量が越冬性に大きく寄与するが、フルクタン含量の測定には長期積雪直前の限られた時期のサンプリングが必要であり、気象条件による年次変動も大きいため、越冬性に優れる系統を選抜するためのDNAマーカーの開発が求められている。そこで、国内オオムギ105品種・系統について、5つのフルクタン関連酵素遺伝子の遺伝子型、越冬前の茎葉におけるフルクタン含量と越冬性の優劣との関係を明らかにして、高度越冬性系統の効率的選抜を可能にするDNAマーカーを開発する。
成果の内容・特徴 1. 越冬前の茎葉におけるフルクタン含量と越冬性には有意な相関があり、越冬前のフルクタン含量が高いほど越冬性が優れる(図1)。
2. 5種類のフルクタン関連酵素遺伝子(フルクタン分解酵素をコードする1-FEH、6-FEH、フルクタン合成酵素をコードする1-FFT、1-SST、6-SFT)には多数の塩基多型が存在し、各遺伝子は5~10の遺伝子型に分類できる。遺伝子型の組み合わせにより供試品種・系統は39グループに分類され、うち15グループ(グループA~O)が3品種・系統以上から構成される(表1)。
3. 遺伝子型のグループによって越冬性の優劣が異なる。最も越冬性に優れるグループAの6-SFT遺伝子の遺伝子型は他のグループには見られない。また、1-FEH遺伝子の遺伝子型により越冬性が"優"(遺伝子型1)・"中"(遺伝子型5)・"劣"(遺伝子型3)のグループ群に大きく分類される(表1)。
4. 6-SFT遺伝子型判別マーカーはフルクタン含量が高く、最も越冬性に優れるグループAを判別でき、2種類の1-FEH遺伝子型判別マーカーにより越冬性を大きく"優"・"中"・"劣"に判定することができる(図2)。
成果の活用面・留意点 1. 本成果で開発したDNAマーカーは、越冬性が優れる系統を少雪年においても効率的に選抜するのための指標として利用できる。
2. 1-FFT、1-SST、6-SFT遺伝子はゲノム上の極近傍に位置し強連鎖しているため、6-SFT遺伝子の遺伝子型判定により3つのフルクタン合成酵素遺伝子の遺伝子型の組合せを概ね推定することができる。
3. オオムギの越冬性にはフルクタン以外に雪腐病抵抗性や耐凍性も関与するため、これらの影響についても今後検討が必要である。
4. フルクタンは健康機能性成分としても知られ、穀粒にも蓄積する。本成果の知見は温暖地品種の高機能性化などへの利用が期待される。
図表1 249021-1.png
研究内容 https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/karc/2021/karc21_s07.html
カテゴリ 大麦 機能性 機能性成分 DNAマーカー 抵抗性 品種

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