e.高収益な果樹生産を可能とする高品質品種の育成と省力・安定生産技術の開発

課題名 e.高収益な果樹生産を可能とする高品質品種の育成と省力・安定生産技術の開発
課題番号 2008010594
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,ナシ・クリ・核果類研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,ブドウ・カキ研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,カンキツ研究チーム
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,リンゴ研究チーム
協力分担関係 農業生物資源研究所
京都大大学院
近畿大学
広島大学大学院
酒類総合研究所
静岡大学農学部
岩手大学
岐阜大学
岩手県農業研究センター
宮城県農業・園芸総合研究所
研究期間 2006-2010
年度 2008
摘要 かんきつ品種の育成に関しては、1)「ヒュウガナツ」の少核果生産における授粉樹に適する「カンキツ口之津41号」が品種登録されるとともに、食味が優れ、機能性成分を高濃度で含有する早生みかん「西南のひかり」および施設栽培に適し、無核果生産が可能なみかん「津之輝」が農林認定された。優良品種を育成するため、交雑実生を調査し、5個体を有望と評価した。カンキツトリステザウイルス抵抗性品種の開発を目的に育成した322個体から、DNAマーカーにより163個体の抵抗性個体を選抜した。また、ブンタンが持つかんきつかいよう病抵抗性は劣性遺伝することを示唆する結果を得た。2)DNAマーカーによる選抜を効率化するため、DNA抽出工程を省略することにより、従来法に比べ作業時間を約5分の1に短縮でき、かつ使用する資材等も大幅に削減可能な超簡易選抜法を開発した。 りんご品種の育成に関しては、1)食味が優れ大果で豊産性の黄色系りんご「リンゴ盛岡63号」を新品種候補系統として選抜した。群馬県と共同で育成した早生で着色・食味の優れるりんご「おぜの紅」が品種登録された。優良品種を育成するため、第4~6次育種試験において育成した交雑実生を調査し、果実特性が優れた6系統を系統適応性・特性検定試験供試候補として選抜した。2)日持ち性の優れる品種を効率的に育成するため、短期間における果実硬度の変化から冷蔵時の長期貯蔵性を簡易に評価する手法を開発した。 日本なし品種の育成に関しては、1)優良品種を育成するため、交雑実生を調査し、42個体を有望と評価した。2)55品種の来歴を自家不和合性遺伝子型およびSSRマーカーにより解析し、来歴が不明であった「新興」や来歴に疑問のあった「新高」等の交雑親を明らかにした。 核果類品種の育成に関しては、1)有機酸含量が高く梅酒品質の優れるうめ「ウメ筑波7号」、酸味が少なく生食に適したあんず「アンズ筑波9号」および「アンズ筑波12号」を新品種候補系統として選抜した。黄肉で甘味が多く品質優良なもも「つきあかり」、枝垂れ性で花が八重咲きの観賞用もも「ひなのたき」の品種登録を出願し、極早生で食味良好な黄肉もも「ひめこなつ」が農林認定された。ももの優良品種を育成するため、交雑実生を調査し、4個体を有望と評価した。うめ等の優良品種を育成するため、交雑実生を調査し、外観に特徴のある4個体を有望と評価した。 ぶどう品種の育成に関しては、1)食味が優れる大粒の赤色ぶどう「ブドウ安芸津27号」を新品種候補系統として選抜した。優良品種を育成するため、交雑実生を調査し、7個体を有望と評価した。2)果皮の着色に関わる遺伝子座には、アントシアニン合成誘導機能のないハプロタイプAと、誘導機能のあるハプロタイプC、Eとがある。誘導機能のあるハプロタイプが2つ存在すると、果皮アントシアニン含量が増加する傾向にあることを明らかにした。 かき品種の育成に関しては、1)大果で収量性が高い中生のかき「太月」、大果で食味が優れる晩生のかき「太天」が農林認定された。優良な完全甘がき品種を育成するため、交雑実生を調査し、21個体を有望と評価した。2)日本品種由来の完全甘がき形質を持つ「富有」と中国品種由来の同形質を持つ個体の交雑により育成した876個体について、中国品種由来の完全甘がき形質に連鎖するDNAマーカーを用いて解析した結果、同形質を持つ個体と持たない個体は1:1で分離することを明らかにした。 くり品種の育成に関しては、1)食味良好で豊産性の日本ぐり「クリ筑波39号」を新品種候補系統として選抜した。優良品種を育成するため、交雑実生を調査し、系統適応性・特性検定試験供試系統として4系統を選抜した。これらのうち2系統は渋皮はく皮性が優れている。また、日本ぐり遺伝資源を調査し、渋皮はく皮性の優れる8品種を新たに発見した。渋皮はく皮性の遺伝解析に向け、交雑を行い、211粒の交雑種子を得た。さらに、渋皮はく皮性の良い日本ぐりは、渋皮接着物質が渋皮細胞から漏出しにくいことを示唆する結果を得た。 省力適性形質を備えた台木の選抜および大量増殖法の開発に関しては、1)かきわい性台木候補系統「No.3」および「S22」を台木にした6年生「富有」は、「アオガキ」を台木とした場合と比べてわい化し、樹冠容積は1/2となった。わい性台木の繁殖では、「平核無」を組織培養して得たシュートをIBA1.25mM+フロログルシノール1.0mMに浸漬して直接培養土に挿すと約7割が発根し、根の伸長も良好であることを発見した。効率的なわい性台木の接ぎ木法については、8月下旬に葉を数枚残したわい性台木幼苗に「富有」を接ぎ木すると70%以上が活着し、翌春には定植可能な苗木(樹高1m前後)が養成できることを明らかにした。2)ももでは、わい性の優良台木品種を育成するため、交雑実生から3系統を選抜し、台木連絡試験を9カ所の公立試験研究機関とともに開始した。3)かんきつでは、うんしゅうみかん「させぼ温州」を穂品種として用いた場合の地上部生育に基づき、からたち台に比べ、やや弱樹勢の台木候補を3系統、弱樹勢の台木候補を1系統それぞれ選抜した。4)りんごでは、交雑実生を調査し、挿し木繁殖性が優れ根頭がんしゅ病抵抗性を有する台木候補として6系統を有望と評価した。また、根頭がんしゅ病抵抗性台木の効率的選抜に利用可能なDNAマーカーを開発した。 栽培管理技術の開発に関しては、1)りんごにおける栽培管理時間の削減に向けて、主要栽培品種では、JM7台およびJM8台を利用することにより、列間5m×樹間3mの半密植で結実側枝の発出高を2m以下とする低樹高栽培が可能であることを明らかにした。この低樹高栽培樹では、結実させる側枝を3mの高さまで配置する従来法と比べ、収穫に係る作業時間が20%程度少ないことを明らかにした。2)かんきつでは、「はるみ」において、枝別摘果樹は慣行摘果樹よりも細根量が多く、かつ細根の呼吸活性が高いことを明らかにした。
カテゴリ あんず 育種 遺伝資源 うめ 温州みかん かき 機能性成分 くり 栽培技術 挿し木 施設栽培 新品種 台木 長期保存・貯蔵 接ぎ木 DNAマーカー 抵抗性 抵抗性品種 低樹高 日本なし 繁殖性改善 日向夏 品種 ぶどう ぶんたん もも 良食味 りんご わい化 その他のかんきつ

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