e.作物の低温耐性等を高める代謝物質の機能解明とDNAマーカーを利用した育種素材の開発

課題名 e.作物の低温耐性等を高める代謝物質の機能解明とDNAマーカーを利用した育種素材の開発
課題番号 2009013898
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 (独)農業・食品産業技術総合研究機構,北農研,低温耐性研究チーム
協力分担関係 道上川農試
ホクレン
宮城県古川農試
生物研
青森県農総研
栃木県農試
道中央農試
道十勝農試
北海道大学
研究期間 2006-2010
年度 2009
摘要 1)小麦由来のフルクタン合成酵素遺伝子を発現させることにより、穂ばらみ期耐冷性が向上した形質転換イネを用いてその機能を解析した。その結果、低温下で糖転流及びショ糖分解酵素遺伝子の発現が減少することにより幼穂への糖の供給不足が起こるなかで、フラクタン合成酵素遺伝子の発現により、幼穂に蓄積されたフルクタンが糖供給不足を補い、耐冷性向上に関与していることが示唆された。また、小麦が一般的に持つ抗菌たんぱく質遺伝子導入によりシロイヌナズナの雪腐病抵抗性が向上することを証明し、同たんぱく質遺伝子を過剰発現プロモーターに連結して導入した形質転換小麦を作出した。さらに、シロイヌナズナの低温ショックドメインたんぱく質の一種AtCSP3は、RNAシャペロンとして機能し、耐凍性を向上させることを明らかにした。2)小分子熱ショックたんぱく質遺伝子sHSP17.7を過剰発現させることにより穂ばらみ期耐冷性が向上した形質転換稲系統についてP1P温室における生物多様性影響評価試験を行ったところ、出穂期がやや遅く、一穂穎花数がやや少ない以外は原品種と有意な差異はなかった。飼料用稲品種に小麦由来フルクタン合成酵素遺伝子を導入した系統の穂ばらみ期耐冷性は原品種よりも有意に高かった。外国稲由来の穂ばらみ期耐冷性遺伝子Ctb1・2とqCTB8をDNAマーカー利用により導入・集積した系統は、出穂期がやや遅いものの、穂ばらみ期耐冷性が「ほしのゆめ」を上回り、極強レベルであった。3)小麦に過剰発現プロモーターと連結したフルクタン合成酵素遺伝子を導入し、形質転換小麦個体(T1分離世代)の子孫についてホモヘテロ検定を行い、2つのホモ固定系統を選抜した。これらの系統において導入遺伝子の発現が確認された。4)大豆の新規耐冷性QTLに関して高精度マッピングを行うことにより、トヨハルカの耐冷性に関連するQTLの座乗領域を約145kbに絞り込み、このQTLに関するトヨムスメの準同質遺伝子系統を育成した。さらにトヨハルカとトヨムスメの正逆交雑を行うことにより、トヨハルカを種子親にしたときにのみ低温下でのF1種子の肥大性が優れることを確認した。大豆のマーカー解析を3種の組換え自殖系統群を用いて大規模に実施し、SSRマーカーを中心とする1,811のDNAマーカーからなる統合分子連鎖地図を構築した。大豆の裂莢性に関する主要なQTL(qPDH1)に座乗する遺伝子を特定し、その塩基配列の多型を利用して、いくつかの由来の異なる品種の遺伝子型を調べたところ、完全にそれらの裂莢性の難易度と一致した。
カテゴリ 育種 小麦 飼料用作物 耐寒性 DNAマーカー 抵抗性 品種

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