課題名 | e.高収益な果樹生産を可能とする高品質品種の育成と省力・安定生産技術の開発 |
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課題番号 | 2010014854 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,ナシ・クリ・核果類研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,ブドウ・カキ研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,カンキツ研究チーム (独)農業・食品産業技術総合研究機構,果樹研,リンゴ研究チーム |
協力分担関係 |
茨城県農業総合センター 埼玉県農林総合研究センター 岐阜県中山間農業研究所 熊本県農業研究センター (株)小田喜商店 樋野電機工業 |
研究期間 | 2006-2010 |
年度 | 2010 |
摘要 | かんきつ品種の育成に関しては、1)12月中下旬に成熟し、栽培しやすいかんきつ、カンキツ口之津37号を「津之望」として品種登録出願した。「津の望」は、隔年結果性が低く、連年安定生産が容易である。果実は190g程度とウンシュウミカンより大きく、皮が剥けやすく、芳香があって食味が良い。生理障害の浮皮も発生しにくく、商品果率が高い。2) 酸味が高くて生食には適さないが、機能性成分であるオーラプテンを高含有し、加工用または育種素材として活用できる可能性があるかんきつ、RP-55を「オーラスター」として品種登録出願した。「オーラスター」は、カラタチ、ハッサクおよび「晩白柚」に由来する品種であり、皮が厚く、400g程度の大果である。また、カンキツトリステザウイルスに免疫性である。りんご品種の育成に関しては、1)38組合せの交配を実施し、交雑種子5,171粒を獲得した。また、2,240個体の特性を評価し、2,033個体を淘汰するとともに、新たに極早生で着色・食味に優れる2個体を有望個体として予備選抜した。2)選抜した7系統について、全国りんご生産地の公立試験研究機関において地域適応性検定試験を行い、着色性の劣った1系統を淘汰した。日本なし品種の育成に関しては、1)黒星病抵抗性獲得等を目標として18組合せの交雑を行い、2,313粒の交雑種子を新たに獲得した。また2,068個体の交雑実生を評価し、480個体を淘汰するとともに、有望と評価された38個体を予備選抜した。2) 選抜した5系統について、全国日本なし生産地の公立試験研究機関において地域適応性検定試験を行った。結実開始後の年数が短く、さらに継続した試験が必要である。核果類の品種育成に関しては、1)食味良好で外観が優れる晩生の生食用黄肉もも、モモ筑波123号を「つきかがみ」として品種登録出願した。「つきかがみ」は、黄肉の主力品種「黄金桃」より1週間程度成熟期が遅く、大果で、糖度も13~14%と高い品種である。果面が滑らかで裂果が少ないため、無袋栽培が可能である。2)ももでは、高糖度等を目標として19組合せの交雑を行い、615粒の交雑種子を獲得した。うめでは大果で自家和合性等を目標に4組合せの交雑を行い、55粒の交雑種子を獲得した。また、もも270個体、うめ117個体、すもも23個体、あんず61個体の実生について特性を評価し、計321個体を淘汰した。ぶどう品種の育成に関しては、1)大粒で種なし栽培が可能な黄緑色ぶどう、ブドウ安芸津25号を「サンヴェルデ」として品種登録出願した。「サンヴェルデ」は、「巨峰」と同時期に収穫でき、果粒の大きさは14g程度で、「巨峰」・「ピオーネ」より噛み切りやすく硬い肉質を持ち、「巨峰」と同様に皮が剥けやすい。2)大粒で食味の優れる優良品種を育成するため、21組合せの交配を行い、5,319粒の交雑種子を獲得した。998個体の交雑実生の特性を評価し、179個体を淘汰し、36個体を予備選抜した。かき品種の育成に関しては、1)良食味の完全甘がき品種を育成することを目的とし、16組合せの交雑を行い、1,723粒の交雑種子を獲得した。470個体の交雑実生の特性を評価し、269個体を淘汰した。2)選抜した完全甘がき4系統について、全国かき生産地の公立試験研究機関において地域適応性検定試験を行った。結実開始後の年数が短く、さらに継続した試験が必要である。くり品種の育成に関しては、1)渋皮剥皮性の良いくり品種を育成することを目的とし、13組合せの交雑を行い、698粒の交雑種子を獲得した。また、665個体の交雑実生の特性を評価し、269個体を淘汰するとともに、26個体を有望と評価した。2)選抜した4系統について、全国生産地の公立試験研究機関において地域適応性検定試験を行った。樹齢が若いため、まだ結実を開始せず、さらに継続した試験が必要である。省力適性形質を備えた台木の選抜および大量増殖法の開発に関しては、1)JM台木を利用したりんごの低樹高樹形を早期に形成する技術を開発し、摘花・摘果、着色管理、収穫、整枝・剪定の各作業時間をそれぞれ20%~40%程度削減できることを実証するとともに、マニュアルを作成した。果樹生産の省力安定生産技術の開発に関しては、1)ぶどう開花期の省力化を図るため、満開期のジベレリン処理と同時に簡便に花かすを落とすことができる「花冠取り器」を開発し、メーカー1社と実施許諾を締結した。2)中晩生かんきつ「不知火」において、枝内水分を測定するTDR計の測定値を温度補正し、高糖度果実生産に最適な水分ストレス付与時期を明らかにした。 |
カテゴリ | あんず 育種 うめ 温州みかん かき 加工 機能性成分 くり 黒星病 省力化 すもも 生理障害 台木 抵抗性 低樹高 日本なし はっさく 品種 ぶどう もも 良食味 りんご その他のかんきつ |