生殖工学を用いた有用家畜作出技術の開発

課題名 生殖工学を用いた有用家畜作出技術の開発
課題番号 2012020360
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 下司雅也
協力分担関係 (独)家畜改良センター
東京農工大学
日本獣医生命科学大学
県立広島大学
石川県農林総合研究センター畜産試験場
新潟県農業総合研究所畜産研究センター
神奈川県農業技術センター畜産技術所
鹿児島県農業開発総合センター
研究期間 2011-2015
年度 2012
摘要 遺伝子発現やエピジェネティクス情報等を活用したクローン胚等の品質評価法に関しては、a)ウシ体外受精胚及び核移植胚における遺伝子発現を解析し、DNMT3B、SOX2、CDX2、GLUT1の発現量は、体外受精胚に比べ核移植胚(スクリプタイド処理と無処理)では有意に低く、IFN-tauとCK19の発現量は、スクリプタイド無処理の核移植胚では体外受精胚に比べ有意に低いことを明らかにした。b)体外成熟時のウシ卵子に与えた暑熱ストレスによって、カテプシン活性の増加とアポトーシスに関わる酵素の増加を認めたが、カテプシン活性阻害剤の添加によって熱感作卵子の発生能が改善し、カスパーゼ3の抑制並びにアポトーシスの低減効果があることを明らかにした。
個体への発生能の高い生殖細胞の生産に関しては、a)トランスフェクション剤を用いた遺伝子導入法により、ブタES様細胞への安定型遺伝子導入を可能とした。また、新規に4株のブタES様細胞株を樹立した。b)ウシ発育途上卵母細胞の体外発育において、培養液へのポリビニルピロリドン(PVP)添加は、卵母細胞との接触を保つための卵丘細胞から伸びて透明帯を貫通する突起数を増加させることを明らかにした。c)各種の生体内卵子吸引(OPU)法由来の成熟卵子を比較したところ、紡錘体の長さ、アクチンフィラメントの異常の発現頻度、ATPレベル、ミトコンドリアの分布については、卵胞発育同調法による体外成熟卵子と体内成熟卵子とが同様であることを明らかにした。
個体への発生能の高い胚の生産に関しては、a)ホルスタイン搾乳牛を用いて、多排卵処置後に採取した卵子を体内成熟卵子と未成熟卵子に分けて性選別精液と体外受精を実施することにより6.3個の性判別胚を生産でき、卵胞発育同調法(2.2個)より優れていることを明らかにした。b)また、二重染色法とTUNEL染色法を組み合わせた染色法により受精卵の品質を比較した結果、卵胞発育同調法及び体内成熟卵子採取法により得られた受精卵の品質は従来法よりも高いことを明らかにした。c)特定個体からの効率的なブタ胚生産技術について、体外成熟培地へのグルタチオンエチルエステル添加は卵割率や胚盤胞への発生率に影響を及ぼさないが、豚の少数卵子あるいは卵丘細胞の付着状況が良好でない低ランク卵子においては、胚細胞数を増加させることを明らかにした。
長期保存技術に関しては、a)ブタ凍結融解精液の子宮深部授精後の子宮内多形核白血球は、精液をPGM液で融解した場合、Modena液に比べて有意に減少し、10億個の精子の1回授精により50%程度の分娩率を達成した。また、精液希釈液にカフェインを10mM添加した液状保存精液で人工授精を行うと、定法の精子数の1/4量で受胎が可能であり、コストの削減ができる。b)受胎性の違いにより、ウシ精子mtDNAの絶対コピー数やOCT4遺伝子等のDNAメチル化状態に顕著な違いがないことを明らかにした。また、精子曲線地点移動速度(VCL)が200m/秒以上の運動性を示す精子を鞭毛運動の強い精子として計測することで、受胎性が低いウシの凍結精液を判別できることを明らかにした。c)Knockout serum replacement(KSR)のブタ体外発生培地への添加は、胚盤胞の孵化率や細胞数などを向上させることを明らかにした。KSRに暴露した胚の移植では50%の受胎に成功した。d)体外成熟培地へのカルニチン添加は、ウシガラス化保存加温卵子の体外受精後の発生能を改善した。また、ブタ卵子のガラス化保存では、耐凍剤に17.5%エチレングリコールと17.5%プロピレングリコールを併用した場合に胚盤胞期への発生率向上に効果的であることを明らかにした。e)体外発生培地への0.3及び0.6mg/mlのL-カルニチン添加は、ウシ体外受精胚の発育及び品質を向上させるとともに、脂質含量を低下させ耐凍性を向上させることを明らかにした。また、種雄牛や卵子の採取法の違いによる凍結融解後の体外受精胚の生存性に差は認められず、耐凍性は同等であった。
カテゴリ 育種 くり コスト 飼育技術 長期保存・貯蔵 乳牛 繁殖性改善 評価法

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる