土壌・資材の評価と肥効改善による効率的養分管理技術の開発

課題名 土壌・資材の評価と肥効改善による効率的養分管理技術の開発
課題番号 2013023050
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 高橋茂
野中邦彦
協力分担関係 新潟農総研・畜産研究センター
岐阜県農業技術セ ンター・環境部
三重県農業研究所
岐阜県畜産試験場
農環研
日本土壌協会
東京工業大学
滋賀県農技セ
群馬県
高知県
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 土壌診断に基づく適正施肥実践のための簡易診断法の開発・改良に関しては、a) 80℃16時間の水抽出法によって得られる可給態窒素を構成する有機物は、ほぼ均一なアミノ酸組成を持つ分子量数千~数十万の有機態窒素分子であり、主に分子量数万以上の有機態窒素が分解し無機化していることを明らかにした。また、本抽出法は抽出物の炭素/窒素比が16未満の場合に有効で、我が国の畑土壌の大部分において 適用可能なことを認めた。b) 水田土壌の風乾土を湛水培養して得られる可給態窒素量は、105℃で絶乾した土壌を25℃で1時間水抽出して 得られる抽出液中の有機態炭素量と高い正の相関関係があり、簡易評価法のプロトタイプとして有望であることを見出した。c) 培養法で 測定した堆肥施用による田畑輪換土壌の無機化窒素の増加量と子実形成期のダイズの窒素吸収量との間には、相関が認められないことを明らかにした。d) 施設キュウリを対象とした複数年のリン酸施用量試験や現地実証試験の結果に基づき、基肥リン酸無施肥が可能な水準と して不振とう水抽出リン酸1.00mg P2O5/100g風乾土を設定し、減肥マニュアルを作成した。またこの評価法の抽出段階で用いる水の共存カチオンの影響を検討したところ、ミネラル水等に含まれる程度の濃度であってもリン酸抽出量を減少させ得ること等を確認し、分析マニュアルを改訂した。e) 茨城県筑西地域を対象に航空写真データに基づいて作成した土壌の乾湿区分手法を、衛星画像を用いて佐賀県上峰町 の水田地帯に適用し、乾湿区分図を試作した。一筆ごと(30a程度)の違いが確認可能な解像度を示す衛星画像は、本手法に利用できるこ とを認めた。
家畜ふん堆肥のリン酸肥効の解明と資材化技術の開発に関しては、a) 淡色黒ボク土においては、堆肥のペレット化によりコマツナのリン 酸吸収量が増加し、土壌中の水溶性リン酸も増加することを確認した。b) 鶏ふん堆肥中の有機態リン酸について、高水分条件下では作物 が利用しやすい形態の無機態リン酸が増加し、作物が利用しにくい塩酸可溶性有機態リン酸は減少することを明らかにした。c) 太陽熱消 毒を模した高温処理により、土壌有機物の分解が促進され無機態窒素量が増加することを確認した。ニンジン-レタス輪作体系の圃場において、高温条件で活性を有するアンモニア酸化菌数は、太陽熱による高温処理(45℃)によって増加し、硝化活性が高まることを確認した。
土壌蓄積養分の活用に関しては、a) 有効態リン酸3~4mg P2O5/100g乾土の低リン酸土壌においても、リン酸無施肥で栽培したエンバク、 ベッチなどの冬作緑肥をすき込むことにより、次作のスイートコーン、コマツナへのリン酸施肥量を2割削減できることを明らかにした。b) 夏作緑肥のヒマワリ及びソルガムは、後作コムギへのリン酸供給源として優れていることを明らかにした。緑肥の効果は次作物によって異なり、ソルガムすき込み後にリン酸施肥をせず栽培したコムギでは、コマツナやシュンギクより減収割合が小さいことを見出した。
接触施肥等による野菜の施肥リン酸利用率の飛躍的向上に関しては、熔リンと重過リン酸石灰の混合比率をキャベツの春まき夏どり作で7:3、夏まき冬どり作では9:1としてセル内施肥を行うことにより、春まき夏どり作において、有効態リン酸10mg/100g以下の圃場では、Lサイズ相当の結球を確保しつつ50%のリン酸減肥が可能であること、20mg/100gを超える圃場では、更に減肥できることを明らかにした。また 、夏まき冬どり作でも、有効態リン酸20mg/100g程度の圃場では、慣行と同等の結球重を維持しつつリン酸肥料を50%減肥できることを明 らかにした。
茶園での環境負荷低減型施肥技術に関しては、a) 芽出し肥を広幅に施用して灌水を行うことで、一番茶への窒素の利用効率が30%向上す ることを明らかにした。b) 樹冠下まで施肥幅を拡大すると、年間窒素施用量を20~30%削減しても3年目までの収量・品質等は慣行と同等であることを確認した。
土壌生産力の長期的推移や環境負荷物質の発生に及ぼす影響に関しては、a) 家畜ふん堆肥連用による非黒ボク土畑の土壌炭素の経年変化 量は、炭素投入量と正の関係にあるが、試験開始時の炭素量及び平均気温と負の関係を示すことを明らかにした。これら開始時炭素量、平均気温、炭素投入量を説明変数として炭素の経年変化量を推定する回帰式を得た。b) 硫安を添加した豚ぷん堆肥ペレットは、無添加堆肥 ペレットに比べて、土壌への窒素施用量を同一とした場合の一酸化二窒素発生量が34%減少することを確認した。また、石灰窒素添加ペレットでは硝化抑制が持続し、一酸化二窒素の発生が低減することを確認した。c) 茶園のうね間土壌からの年間積算一酸化二窒素発生量は 、石灰窒素施用により慣行に比べて3年間の平均で約5割減少し、一番茶・二番茶の収量・品質も慣行栽培並みに確保できることを確認した。d) 静岡県で得られた過去2年間のライシメータ試験の結果を用いて、2つの数値計算モデルLEACHMとHYDRUS-1Dのパラメータ調整を行い、HYDRUS-1Dの予測精度が優れていることを見出した。これに基づいて茶園からの窒素溶脱量を予測するモデルを構築した。
カテゴリ 肥料 簡易診断 環境負荷低減 管理技術 キャベツ きゅうり こまつな しゅんぎく 水田 施肥 ソルガム 大豆 土壌診断 にんじん ひまわり 評価法 輪作体系 レタス

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