縞萎縮病抵抗性秋まき小麦新品種候補系統「北見72号」

タイトル 縞萎縮病抵抗性秋まき小麦新品種候補系統「北見72号」
担当機関 北海道立北見農業試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者 柳沢 朗
天野 洋一
田引 正
谷藤 健
吉村 康弘
中道 浩司
土屋 俊雄
前野 眞司
荒木 和哉
三上 浩輝
牧田 道夫
佐々木 宏
発行年度 1999
要約 秋まき小麦「北見72号」はホクシンと比較して、縞萎縮病抵抗性および耐穂発芽性が優れる。耐雪性、うどんこ病抵抗性、赤さび病抵抗性、および収量性は同程度である。粘弾性はやや劣るものの、粉色が優れ、ホクシンよりめん色は優れる。
背景・ねらい 平成6年に育成したホクシンは、チホクコムギの耐病性、耐穂発芽性を改良し、やや早生で多収であるためチホクコムギに替わって急速に普及している。しかし、ホクシンは縞萎縮病に抵抗性がきわめて弱いことから、縞萎縮病が発生している圃場では栽培することができない。また、発病の激しい圃場では抵抗性がやや弱~中の小麦でも収量性の低下がみられることから、更に抵抗性の強い品種が望まれている。
成果の内容・特徴
  1. 「北見72号」は、昭和59年度において、やや早生・耐雪性やや強・多収・良質の「59045」(後の「ホクシン」)を母、穂発芽性難の「北系1354」を父として人工交配を行い、以降選抜、固定を図ったものである。
  2. 「ホクシン」に比べ出穂期で2日、成熟期で2日遅いやや早生種である。
  3. 稈長、耐倒伏性は「ホクシン」と同程度である。
  4. 縞萎縮病抵抗性は「ホクシン」より強く、やや強である。
  5. 耐雪性、赤さび病・うどんこ病抵抗性は「ホクシン」と同程度であるが、赤かび病抵抗性は「ホクシン」よりやや強い。
  6. 耐穂発芽性は「ホクシン」より強く、やや難である。
  7. 子実重は「ホクシン」と同程度で、収量性、千粒重、容積重も「ホクシン」と同程度である。
  8. 製粉性は「ホクシン」と同程度かやや優れ、蛋白含量は「ホクシン」と同程度で、粉色は「ホクシン」より優れる。
  9. 製めん適性は、「ホクシン」よりめん色は優れるが粘弾性はやや劣る。
成果の活用面・留意点
  1. 「北見72号」を、北海道内の縞萎縮病発生地帯においてホクシンに置き換えて栽培することにより、北海道産小麦のより安定的な生産を図る。
  2. 栽培にあたっては、縞萎縮病抵抗性はホクシンより強いが免疫的な抵抗性は有していないため、適正な輪作体系の維持に努める。また、耐穂発芽性はホクシンより強いが、刈遅れによる品質低下の懸念があるので、適期収穫を励行する。

平成11年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分
課題名:秋まき小麦新品種候補「北見72号」(普及奨励)
図表1 212106-1.gif
カテゴリ 萎縮病 うどんこ病 小麦 新品種 抵抗性 品種 輪作体系

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