タイトル | SSRマーカーによるニホングリのDNA品種識別技術 |
---|---|
担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2006~2007 |
研究担当者 |
山本俊哉 西谷千佳子 寺上伸吾 今井剛 佐藤明彦 澤村豊 高田教臣 平林利郎 |
発行年度 | 2007 |
要約 | ニホングリやヨーロッパグリで開発された12種類のSSRマーカーを用いて、60の主要なニホングリ品種の識別が可能である。また、本SSRマーカーを用いて、親子関係の確認が可能である。 |
キーワード | ニホングリ、DNAマーカー、品種識別 |
背景・ねらい | ニホングリでは、最近「ぽろたん」などの優良な品種が育成されているが、今後の普及や栽培の加速化に伴って、権利侵害や海外への違法な流出、さらに海賊版果実の流入が危惧される。そこで、ニホングリを対象に品種識別に利用可能なDNAマーカーの開発、およびDNAマーカーを用いた科学的な信頼度の高い識別方法の開発を図る。 |
成果の内容・特徴 | 1.「筑波」、「丹沢」、「石鎚」、「伊吹」、「国見」、「紫峰」、「秋峰」、「ぽろたん」、「岸根」、「銀寄」、「大峰」、「利平ぐり」、「中生丹波」、「笠原早生」、「乙宗」、「大正早生」、「芳養玉」、「豊多摩早生」、「銀鈴」など果樹研究所に植栽されている主要なニホングリ60品種で、SSRマーカーによる品種識別が可能である。 2.ニホングリ由来の7種類のSSRマーカー(KT001b、KT004a、KT005a、KT015a、KT020a、KT029a、KT030a)、ヨーロッパグリ由来の5種類のSSRマーカー(CsCAT18、CsCAT24、EMCs2、EMCs13、EMCs14)の合計12種類のSSRマーカーが、品種識別に利用可能である(表1)。 3.SSRマーカーによって「筑波」、「丹沢」、「石鎚」、「国見」、「紫峰」、「秋峰」、「ぽろたん」の親子関係の確認が可能である(表2)。 4.「雲竜」は「筑波」の枝変わり品種であるが、「筑波」と同じSSR遺伝子型を示したため、枝変わりと確認される(表2)。同一SSR遺伝子型を示す5組の品種が存在する(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.枝変わり品種と原品種の品種識別について、遺伝子型が同一であるため本マーカーは利用できない。 2.同一SSR遺伝子型を示す品種は、異名同品種の可能性が予想される。 3.本DNA品種識別技術では、様々な組織を用いることが可能である。母親由来の組織である葉、鬼皮、座、渋皮から抽出したDNAは、母親と同じ遺伝子型を示す。一方、子葉から抽出したDNAは、母親と父親の交雑F1世代であり、両親の対立遺伝子を併せ持つため、分析に際して注意を要する。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | DNAマーカー 品種 |