タイトル | 暖地における高水分小麦のハイブリッド乾燥システム |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 | 2001~2004 |
研究担当者 |
関昌子 関正裕 高橋仁康 西田初生 田坂幸平 田谷省三 波多野哲也 八田浩一 平将人 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 成熟期1日後に小麦の穀粒水分は31~36%になり、損傷粒の割合が1%程度と少なく、収穫可能になる。ハイブリッド乾燥システムは、このような高水分小麦を穀粒水分28%までは主に除湿空気で乾燥し、以後、熱風乾燥する方法で、品質を損なうことなく乾燥できる。 |
背景・ねらい | 小麦の収穫時における穀粒水分は、損傷粒の発生を考慮すると30%以下の収穫が望ましく、運搬・乾燥時の熱損粒や異臭麦の発生による品質低下のリスク及び経済性などを考慮すると25%以下で収穫することが推奨されている。しかし、九州北部における小麦の収穫時期は入梅と重なることが多く、雨濡れによる品質低下を回避して高品質を確保するためには、梅雨入り前に収穫することが望ましい。そこで、雨濡れ被害を回避する方法の一つとして高水分小麦の収穫時期について検討するとともに高品質乾燥技術を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 成熟期は穀粒水分の変動幅が最も大きく、また、この時期に収穫すると未熟粒、損傷粒、穎付き粒が約20~30%混入する。成熟期1日後では穀粒水分が31~36%になり、未熟粒等は5~10%に大きく減少する(図1)。 2. ハイブリッド乾燥システムは、小麦の水分や雰囲気の温湿度に応じて冷却・除湿・加温の3種類の異なる空気を送風することによって乾燥を行うシステムである(図2)。 3. 本システムの乾燥工程は以下の通りである。 穀温が35℃以上の場合には冷却・除湿運転を行い、25℃まで下げる。 その後は除湿運転により水分28%まで低下させる。毎時乾減率は0.2~0.3%で、1.5日程度で乾燥できる。雰囲気の温度が低い場合は、除湿運転時に加温も行う。 水分が28%まで低下した後は、熱風で乾燥させる。 4. 従来の乾燥法と比較した検査等級、穀粒・粉の品質およびめんの適性は以下の通りである。 ハイブリッド乾燥した高水分小麦の検査等級はいずれも一等で、適期収穫して熱風乾燥した小麦と同等で優れ、千粒重もほぼ同等である(表1)。 製粉性(ミリングスコア)は適期収穫とほぼ同等で、いずれも高い(表1)。 アミログラム最高粘度(M.V.)はいずれも高く、でんぷんの変性は認められない(表1)。 粉の色の明るさ(L*)は適期収穫と同等で、いずれも高い。赤み(a*)は、高水分収穫の方がやや低い(表1)。 食味官能検査値は、チクゴイズミ(2001年産)の色では高水分収穫が低いものの、その他の特性は概ね同等で、合計点はいずれも標準の群馬産農林61号より高い(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 高水分小麦を貯蔵乾燥方式で乾燥を行う場合の参考となる。 2. 高水分小麦の乾燥試験は、供試量500~1600kg、堆積高さ40~120cm、風量比0.3~0.8m3/sec・1tで行った結果であり、穀粒水分は135℃24時間常圧乾燥法で測定した。 3. 本ハイブリッド乾燥システムは、従来の熱風乾燥法に比較して約100kWh/1tの電力量をさらに必要とする。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 乾燥 小麦 良食味 |