タイトル | 稲発酵粗資料向き極晩生水稲新品種候補「リーフスター」 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所 |
研究期間 | 1991~2004 |
研究担当者 |
加藤 浩 安東郁男 平林秀介 出田 収 竹内善信 平山正賢 太田久稔 佐藤宏之 井邊時雄 根本 博 堀末 登 高舘正男 坂井 真 田村和彦 青木法明 大川泰一郎 石原 邦 中川宣興 石井卓朗 飯田修一 前田英郎 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 「リーフスター(関東飼215号)」は温暖地では極晩生に属する水稲粳種で、長稈で茎葉多収型の稲発酵粗飼料向き系統である。玄米収量は劣るが、地上部全重が多収で、未消化籾の排泄量が少なく、いもち病圃場抵抗性が強い。 |
キーワード | イネ、水稲、飼料イネ、稲発酵粗飼料、茎葉多収、未消化籾 |
背景・ねらい | 食糧自給率の向上を目的とした国内での飼料自給率の向上、および米の生産調整の円滑化、さらに、貯水力等の水田の機能維持を一挙に図る目的で、稲を発酵粗飼料として利用する飼料イネの生産が進められている。多収で耐病性の強い飼料イネが求められている。また、稲発酵粗飼料の給与では未消化籾が40%に達する場合があり、問題視されている。そこで、いもち病に強く、籾収量によらずに茎葉重により可消化養分総量(Total digestible nutrients, TDN)が高くなる品種を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 「関東飼215号」は、インド型で耐倒伏性極強の多収系統である「中国117号」と「コシヒカリ」の交配後代から育成された系統である。 2. 育成地における早植え栽培での出穂期は、「クサホナミ」より遅く、「はまさり」並の極晩生である。成熟期は「はまさり」より8日遅い。 3. 稈長は1mを超える極長稈で、穂長は「はまさり」より長い。穂数は少なく、着粒密度は“中”で、草型は“茎葉型”である。 4. 芒の多少は“中”で、中程度の長さの芒を有する。ふ先色は“褐”、脱粒性は“難”である。葉身ならびに籾には毛茸がなく無毛性であり、収穫時の粉塵が少ない。 5. 子実の収量性は「はまさり」より劣るが、地上部全重は「はまさり」、「クサホナミ」より多収である。地上部のTDN収量は「はまさり」、「クサホナミ」より高い。未消化籾の排泄量は「クサホナミ」の半分以下である。玄米の外観品質は「はまさり」並である。 6. いもち病真性抵抗性遺伝子はPia, Pik を保有すると推定される。葉いもち圃場抵抗性は“極強”であり、穂いもち抵抗性は“中”である。また白葉枯病抵抗性は「日本晴」よりやや劣る“中”である。縞葉枯病には“罹病性”で、穂発芽性は“中”である。 7. 長稈ではあるものの稈が太く粗剛であり籾重が低いため、耐倒伏性は“強”である。湛水直播栽培では発芽苗立性は良いが、長稈かつ強稈であるため転び型倒伏が生じる場合がある。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 「はまさり」「クサホナミ」より地上部全重が多収で、現地等で問題とされている未消化籾の排泄量が少なく、温暖地・暖地に適する。湛水直播栽培の多肥条件では倒伏することもあり、極端な多肥は避ける。 |
図表1 | |
カテゴリ | いもち病 直播栽培 縞葉枯病 新品種 水田 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 |