安定同位体比を用いた農村水域における食物網の解析

タイトル 安定同位体比を用いた農村水域における食物網の解析
担当機関 (独)農業工学研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 森 淳
柚山義人
中村真人
発行年度 2004
要約 いさわ南部地区原川排水路において安定同位体比による食物網解析によれば、食物網が陸起源有機物と藻類から出発しており、採取地点以外で生育した可能性がある個体がアブラハヤの個体群に含まれている。環境との調和に配慮した水路更新事業等の設計の際に必要な基礎的知見となる。
キーワード
安定同位体比、食物網、陸起源有機物、藻類
背景・ねらい 食物網には、植物が作り出した物質が草食動物を経て肉食動物に受け継がれ、分解後再び植物によって利用される、物質循環機能が存在する。農村地域では、生産性向上のための取り組みが進められるにしたがって、この機能が脆弱化していると考えられる。
食物網は安定同位体比を用いた解析が可能であるが、農村地域における実績はない。
生態系を保全し、生物を媒介とした物質循環機能を維持・増進させる農業農村整備事業の技術開発に着手するため、この手法を用いて国営農地再編整備事業いさわ南部地区における水域生態系の食物網解析を行った。
成果の内容・特徴
  1. 原川排水路の食物網(図1)は、付着藻類と陸上植物の腐食物(陸起源有機物)から出発していると考えられる。
  2. アブラハヤの個体群には、炭素安定同位体比(δ13C)と窒素安定同位体比(δ15N)の低い個体が確認され、異なる水域で生育した個体が移動して個体群に加わったことが示唆された。農村生態系における動物移動を安定同位体比によって追跡できる可能性があることおよび広域的な生態系保全の必要性を示した。
  3. 水路の底質がシルト~粘土質に偏った区間は、底質が礫~粘土まで多様な区間と比べて陸起源有機物や付着藻類が乏しく、水生昆虫と魚類も少なかった。水路の底質と多様性は、ミティゲーション後における食物網の豊かさに影響すると考えられる。
  4. 山林と水田地帯の境界に位置する西風堤(ならいつつみ)の動物は、陸起源有機物に依存していることが明らかになった(図2)。動物が陸起源有機物を利用できる環境が、生態系保全の必要条件のひとつと考えられる。
成果の活用面・留意点 餌資源が供給され、生物が健全に成長できる水利施設のミティゲーションや、魚類等の移動追跡と生態系保全施設の効果検証への活用が期待される。
藻類や陸起源有機物が生育・堆積でき、水生昆虫などの生息に適した水路技術の開発の契機となる。これが施設更新時等に導入されれば、生態系の物質循環機能が活性化される。
図表1 228007-1.gif
図表2 228007-2.gif
カテゴリ 水田 水管理

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