タイトル |
高11Sグロブリン・低アレルゲンダイズ新品種候補系統「東北124号」 |
担当機関 |
東北農試 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
島田信二
高橋浩司
島田尚典
高田吉丈
境 哲文
河野雄飛
足立大山
田渕公清
菊池彰夫
湯本節三
中村茂樹
伊藤美環子
番場宏治
岡部昭典
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発行年度 |
2000 |
要約 |
だいず「東北124号」は、放射線育種法により蛋白質組成を改変し、世界で初めて大豆の主要アレルゲンを低減させた低アレルゲン系統であり、11Sグロブリン含有率と含硫アミノ酸含有率が高い。ダイズモザイク病抵抗性が強であり、倒伏抵抗性が強く着莢位置も高いので、コンバイン収穫に適する。
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背景・ねらい |
国産大豆の付加価値を高めた品種を育成するため、遺伝資源探索や放射線育種法によって大豆貯蔵蛋白質組成を改変し、栄養価の向上と、人体に対するアレルギー物質(アレルゲン)を低減させ、安全性並びに栄養性を兼備した品種の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 「東北124号」は刈系434号にγ線200Gy(農業生物資源研究所放射線育種場)を照射し、選抜・固定された系統で、平成12年における世代はM11である。
- 貯蔵蛋白質の7Sグロブリンαおよびα′サブユニットを欠失し、11Sグロブリン含有率が増大しており(表2)、人体の必須アミノ酸である含硫アミノ酸(メチオニン、シスチン)の含有率が普通大豆より約2割高い(表3)。
- 人体に対する3つの主要なアレルゲン(Gly m Bd 30K,7Sグロブリンαサブユニット、Gly m Bd 28K)のうち、7SグロブリンαサブユニットとGly m Bd 28Kが欠失した低アレルゲン大豆である(表2)。また、アレルゲンGly m Bd 30Kの物理化学的除去が、従来型大豆よりも効率的に行える(特許公開平9‐37720)。
- 成熟期は「タチユタカ」と同じ「中の晩」である(表1)。着莢位置が高く、倒伏抵抗性も強いので、コンバイン収穫に適する(表2)。また、ダイズモザイクウイルスのA,B,C,Dの各系統に抵抗性を有する。
- 子実収量は「タチユタカ」よりやや低収であり、粒の大小は「中の小」に属する(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 低アレルゲン製品(煮豆、納豆、味噌等)の原料としての利用が計画されている。
- 東北124号から製造した分離蛋白質は、物性が通常大豆と大きく異なるため、新たな利用法の開発が期待できる。
- 低アレルゲン製品用の栽培にあたっては、他品種との自然交雑、混種を厳密に避ける必要があり、本品種単一の集団栽培を行う。
- 通常の方法では豆腐製造が困難である。
- シストセンチュウ汚染圃場での作付は避ける。
- 栽培適地は東北、北陸および関東北部地域である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
遺伝資源
新品種
大豆
抵抗性
品種
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