タイトル |
温暖地に適した糯で多収の水稲新品種候補系統「関東糯243号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所 |
研究期間 |
2001~2009 |
研究担当者 |
太田久稔
春原嘉弘
根本 博
安東郁男
加藤 浩
井辺時雄
平林秀介
竹内善信
石井卓朗
前田英郎
常松浩史
佐藤宏之
出田 収
平山正賢
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発行年度 |
2009 |
要約 |
水稲「関東糯243号」は温暖地東部での出穂期が中生の早に属する糯種である。玄米収量が高く、関東以西において、米菓等加工用および飼料用米としての利用が期待できる。
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キーワード |
イネ、多収、加工用、飼料用米、中生
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背景・ねらい |
米菓等加工用米の需要に対応するため、極多収で、耐倒伏性に優れ、低コスト栽培が可能な品種を育成する。また、糯品種作付地帯における飼料用米の生産を可能にするため、これまで利用されていない糯種の極多収品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「関東糯243号」はインド型の糯多収系統「北陸糯181号」とインド型の多収品種「北陸193号」の交雑後代より育成された糯種の系統である。
- 育成地における出穂期は「おどろきもち」と同程度の"中生の早"、成熟期は「日本晴」より遅い"晩生の早"熟期に属する(表1)。
- 稈長は「おどろきもち」より長い。穂数は「おどろきもち」より少なく、草型は"極穂重型"である(表1)。
- 精玄米重は、「おどろきもち」に対して16%、「日本晴」に対して33%多収である(表1)。
- 収量構成要素は、「おどろきもち」と比較して、穂数がやや少ないが一穂籾数が多く、籾数/㎡が多い。登熟歩合がやや低いが千粒重がやや重い(表2)。
- 耐倒伏性は、「おどろきもち」並の"極強"である(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は不明で、葉いもち・穂いもち圃場抵抗性も不明である。白葉枯病抵抗性は"中"である。縞葉枯病に"抵抗性"である。穂発芽性は"難"である(表1)。
- 玄米の外観品質は、「おどろきもち」より劣る"中下"である(表1)。
- 餅の食味は、「おどろきもち」より優る"中中"である(表1)。
- 冷蔵後の餅の硬度は、「おどろきもち」と同程度である(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 玄米多収で餅の硬化が早いため、米菓等加工用および飼料用米として利用が期待できる。
- いもち病真性抵抗性が不明であるので、病原菌のレースの変化に注意する。
- 幼苗期の低温により退色がみられるため、育苗時の温度管理に留意する。また、寒冷地での栽培は避ける。
- 種子の休眠性が強いので、催芽前の浸漬を十分に行う。
- 直播栽培は可能だが、苗立ちが劣ることがあるので、落水出芽等栽培管理に留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
育苗
いもち病
温度管理
加工
栽培技術
直播栽培
縞葉枯病
飼料用米
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
低コスト栽培
品種
良食味
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