タイトル |
小苗から大苗まで各種ネギ苗を移植できる「半自動マルチステージネギ移植機」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター |
研究期間 |
2006~2010 |
研究担当者 |
屋代幹雄
片平光彦
本庄 求
武田 悟
進藤勇人
齋藤雅憲
鵜沼秀樹
田口多喜子
田村 晃
新井正善
柴田 浩
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発行年度 |
2010 |
要約 |
深さ10cmの溝底に草丈20cm程度の小苗から45cm程度の大苗まで生育ステージの異なるネギ苗を剪葉せずに5cm間隔でほぼ直立姿勢で移植することができる。苗はセル成型苗でも裸苗でも移植可能である。また、移植は溝底だけでなく、平床でも可能である。
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キーワード |
ネギ、セル成型苗、裸苗、大苗、移植
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背景・ねらい |
ネギ生産においても機械化は大きく進展しているが、現行の連結紙筒苗や220、488穴の専用セル苗を用いた「小苗の育苗・移植機械作業システム」では、冬期間の積雪で移植時期が限られる寒冷地での夏どり栽培が難しい。このような寒冷地におけるネギ生産においては、大苗移植による「夏どり(7月収穫)ネギ栽培技術」を開発し、出荷期間と作付面積の拡大をはかり、農家所得の向上、ネギ産地の育成と体質強化を図る必要がある。また、機械の利用場面の拡大を図るために、大苗だけでなく、通常の小苗や地床で育苗した裸苗等いろいろな苗を移植する技術が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 「半自動マルチステージネギ移植機」は、溝切り機等で作った幅20cm、深さ10cmの移植溝底部に、24個の苗カップに手動で供給したネギ苗を特殊な形状をしたくちばし状の開孔器が開けた小さな穴に落下させ、株元に土を寄せて植え付ける方式である。走行部には溝追従装置があり、機械は手放しでも溝に沿って直進走行でき、作業者は苗供給に専念できる(図1)。
- 128穴、200穴の標準セルトレイで育苗した小苗(葉齢2齢程度)から大苗(葉齢4齢程度)まで生育ステージの異なるネギ苗(図1)や地床で育苗した裸苗を剪葉せずに株間5cmでほぼ直立姿勢(表2)で移植することができる。植付深さは最大10cmまで設定でき、小苗であれば浅く、大苗であれば深く植え付けることが可能であり、大苗を深く植えることで培土回数を削減することができる。なお、条間は90~100cmに調整可能である。また、植付けは溝底だけでなく、平床でも可能である(図2)。
- 移植作業能率は人力による苗供給時間で制限され、0.6~1.16本/sで、作業能率は1.0~1.6a/hである(表1)。
- 128穴セルトレイで育苗した草丈45cm程度の大苗を移植することにより、慣行手法で育苗した草丈20cm程度の小苗を同時期に移植した場合より収穫期を1ヶ月程度早めることができ、調製後のネギも2L品率が高く、慣行と同等以上の商品収量を得ることができる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- くちばし状の開孔爪で移植する方式のため、溝底が固いと爪が刺さらず移植精度が悪化するので前もって耕起を深くするか、チゼル等を用いて移植する部分を柔らかくしておく必要がある。
- 移植する際、葉が折れ曲がっている場合や苗全体が極端に曲がっている場合は剪葉して曲がり部分を取り除く必要がある。また、裸苗も移植できるが、苗を投入する際に根がらみをほどいておく必要がある。
- 平床で移植する場合は、溝追従装置が使えず、前走行輪跡に沿って走行させることになるため、直進走行が不安定になるので留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育苗
機械化
栽培技術
出荷調整
ねぎ
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