日本のイネいもち病菌の真性抵抗性(Pita)に対する病原性変異の特徴と検出法

タイトル 日本のイネいもち病菌の真性抵抗性(Pita)に対する病原性変異の特徴と検出法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 高橋真実
芦澤武人
平八重一之
森脇丈治
曾根輝雄
園田亮一
野口雅子
永島進
石川浩司
荒井治喜
発行年度 2010
要約 日本のイネいもち病菌は、非病原性遺伝子AVR-Pita1JA(JA)とほぼ同じ塩基配列の遺伝子avr-Pita1JB(JB)を保有するが、JAを欠失することによりPita保有品種に病原性を獲得する。JAのみを特異的に検出するPCR法によって病原性獲得菌を判別できる。
キーワード イネいもち病菌、真性抵抗性、非病原性遺伝子、Pita、AVR-Pita1JA、avr-Pita1JB
背景・ねらい 国内の圃場で採集されるイネいもち病菌株の99%以上が真性抵抗性遺伝子Pitaを保有するイネ品種に病原性を示さないことが明らかになっている(小泉ら2007)。このため、Pitaはいもち病の防除を目的としたマルチラインに利用されている。しかし、マルチラインの安定利用には、病原性を獲得した変異菌の発生を監視する必要がある。そこで、日本のイネいもち病菌が非病原性遺伝子(AVR-Pita1)にどのような変異を起こしてPita保有品種に対して病原性を獲得するのかを解明し、病原性を獲得した菌を判別するPCR法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 国内の圃場分離菌株の多くは、非病原性遺伝子JAとそれと比較して3塩基のみ異なる配列の遺伝子JBを保有する。
  2. JAに変異が起こりPita保有品種に対する病原性を獲得するが、JBは病原性の変異に関与しない(表1、表2)。
  3. 非病原性の圃場分離菌株(OS99-G-7a)から生じる病原性獲得菌株の95.4%は、JAの欠失によるものである(表2)。全国各地から採集した圃場分離菌株のAVR-Pita1の解析結果も病原性獲得の多くはJAの欠失によって起こることを示唆する(表1)。
  4. ほとんどの圃場分離菌株でJBのような病原性に関与しないavr-Pita1を保有しているのは、日本のいもち病菌の特徴であり、アメリカ合衆国に分布する菌の場合(Zhouら2007)と異なる。
  5. JBを増幅せずJAのみを特異的に検出するPCR法によって、JAの欠失による病原性獲得菌を判別できる(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 本PCR法は、病原性獲得菌の発生状況の調査に利用できる。
  2. 本PCR法では、病原性獲得菌株の約5%を占めるJAの点変異やプロモーター領域の変異は検出できない。
  3. JAの欠失による変異を調べる場合には、対象とする菌株に加えてJAのみ保有する菌株とJBのみを保有する菌株についてもPCRを行い、JAが特異的に検出されることを確認する。
図表1 234398-1.png
図表2 234398-2.png
図表3 234398-3.png
カテゴリ 病害虫 いもち病 抵抗性 抵抗性遺伝子 品種 防除

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