タイトル |
圧砕稲わらの粗飼料価指数は通常給与で60~70分程度である |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 |
2009~2010 |
研究担当者 |
押部明徳
大谷隆二
福重直輝
小松篤司
池田堅太郎
関矢博幸
田中 治
木村俊之
木村映一
中込弘二
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発行年度 |
2010 |
要約 |
汎用コンバインにより圧砕処理された稲わらを黒毛和種繁殖雌牛或いは日本短角種去勢肥育牛に飽食量給与した場合、通常稲わらに比べて採食時間は短くなるが反芻時間は同等であり、粗飼料価指数は通常給与で60~70分程度である。
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キーワード |
稲わら、圧砕処理、粗飼料価指数、肉用牛
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背景・ねらい |
稲わらは肥育牛の消化器の状態を正常に維持するための粗飼料として広く利用されているが、乾燥調製の困難さなどのために飼料利用は国内排出量の10%程度にとどまっている。稲わらの飼料利用向上をめざして、汎用コンバインのスクリュー型こぎ胴通過時に稲わらを圧砕し、乾燥に要する日数を短縮させる技術が開発された。しかし、圧砕処理された稲わら(圧砕稲わら)が従来の稲わらと同等の粗飼料としての機能を持つかどうかが未解明である。そこで、圧砕稲わらについて、飼料設計に必要な粗飼料価指数(RVI)を従来の稲わらとの比較により明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 黒毛和種繁殖雌牛に濃厚飼料とほぼ同量の圧砕稲わら(水分8.6%)或いは通常の稲わら(水分15.1%)を給与した場合、圧砕稲わら給与牛の採食時間は通常稲わら給与牛に比べて短くなるが、反芻時間に差は認められず、その結果、圧砕わら給与牛のRVI(59.6±11.3分/kg DM)と通常稲わら給与牛のそれ(71.2±14.2分/kg DM)との間に統計的な差は認められない(図1、図2)。
- 日本短角種去勢肥育牛に飽食量の圧砕稲わら(水分64.3%)或いは通常の稲わら(水分26.8%)と一定量の濃厚飼料を摂取させた場合、圧砕稲わらの摂取量は通常稲わらよりも多くなる(図3)。圧砕稲わら給与牛の採食時間は通常稲わら給与牛に比べて短くなるが、反芻時間はほぼ同じである。圧砕稲わら給与牛のRVI(73±9分/kg DM)は通常稲わら給与牛のそれ(93±4分/kg DM)に比べて短くなるが、70分以上を確保できる(図3、図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 黒毛和種繁殖牛或いは日本短角種肥育牛において圧砕稲わらを用いる試験を実施する際の参考値として活用できる。
- 一般的な圧砕稲わら処理方法は平成20年度東北農業研究成果情報『汎用コンバインを活用した稲わらの迅速乾燥・収集体系』に記述されている。
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3010023406 - 黒毛和種繁殖雌牛におけるRVI算出に用いた圧砕稲わらは、『あきたこまち』を完熟期に2の方法で圃場に排出後8日間予乾し調製した。
- 日本短角種去勢肥育牛におけるRVI算出に用いた圧砕稲わらは、『べこごのみ』を2と同様に圧砕処理した後、予乾せずに調製した。
- 給与した圧砕稲わらおよび通常稲わらは圃場に排出後は切断処理を施していない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
飼料設計
肉牛
繁殖性改善
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