放牧仕上げ肥育において、プロテオーム解析から筋肉の遅筋化が認められる

タイトル 放牧仕上げ肥育において、プロテオーム解析から筋肉の遅筋化が認められる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 柴田昌宏
松本和典
大江美香
亀山眞由美
尾嶋孝一
中島郁世
室谷 進
千国幸一
発行年度 2010
要約 黒毛和種去勢牛について、放牧仕上げ肥育を行った場合の骨格筋では、発現蛋白質の網羅的解析から、解糖系酵素の発現減少および筋原線維蛋白質の遅筋化の促進が認められる。
キーワード 肉用牛、黒毛和種、放牧仕上げ、肥育、筋原線維、蛋白質、プロテオーム
背景・ねらい わが国の肉用牛生産は、飼料自給率の向上を図るため、多様なものになりつつある。これまでの肉用牛生産は、濃厚飼料多給による過度の脂肪交雑を重視するものであるが、近年、濃厚飼料依存から脱却した飼養形態として、放牧、牧乾草など粗飼料資源を活用した新たな取り組みが進められている。これらの飼養形態で生産された牛肉の特徴を明らかにするため、放牧仕上げ肥育を行った牛肉について、発現蛋白質の網羅的解析(プロテオーム解析)を実施し、慣行肥育との違いを明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 黒毛和種去勢牛を対象にと畜前6ヵ月間、大田研究拠点内(島根県)のシバ優占草地で放牧(放牧区)または濃厚飼料多給舎飼の慣行肥育(舎飼区)を行い、27ヵ月齢まで供試する(平均体重・BMSナンバー:放牧区498kg・3.3,舎飼区710kg・6.3)。27ヵ月齢でと畜後、半腱様筋を採取し、これを凍結粉砕する。これから筋蛋白質を抽出し、2次元電気泳動法およびウェスタンブロット法による発現蛋白質の解析を行う。
  2. 2次元電気泳動法による発現蛋白質の網羅的解析から、放牧区の筋漿(水溶性)蛋白質画分(図1A)では、β-エノラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ等、解糖系酵素の発現減少およびアコニターゼ、ミオグロビンの発現増加が認められる。また、放牧区の筋原線維(不溶性)蛋白質画分(図1B)では、ミオシン軽鎖遅筋型アイソフォームの発現上昇が認められる。
  3. ウェスタンブロット法による発現蛋白質の定量解析(図2)から、放牧区において、ミオシン重鎖、トロポニンT、トロポニンIの全ての遅筋型アイソフォームで有意な発現増加が認められ、また、ミオシン重鎖、トロポニンTの速筋型アイソフォームで有意な発現減少が認められる。
成果の活用面・留意点
  1. 2次元電気泳動は、筋肉で発現している大部分の蛋白質を網羅しながら、それらを分離し、発現の増減を解析できるが、蛋白質の同定は別途行う必要がある。
  2. 骨格筋の主なエネルギー代謝は、遅筋型では酸素を必要とするTCA回路、酸化的リン酸化に依存し、速筋型では酸素を必要としない解糖系に依存している。
  3. 放牧区では筋肉の遅筋化が認められるが、これに関して味、栄養成分、フレーバー(風味)、テクスチャー(軟らかさ等)に対して影響を及ぼすとの報告もあるが、専門家の間でも定説は無い。
図表1 234771-1.png
図表2 234771-2.png
カテゴリ 肉牛

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