タイトル | 33.ブルーベリー培養細胞によるアントシアニン色素の生産 |
---|---|
担当機関 | 食品総合研究所 |
研究期間 | 1996~1999 |
研究担当者 |
濱松潮香 森 隆(資源素材化研) 徳安 健(資源素材化研) 伏見 力 矢部希見子 |
発行年度 | 2000 |
要約 | 樹立したブルーベリー培養細胞株は、果実と同等量の高いアントシアニン生産量を示し、15種類以上の配糖体が含まれる。さらに果実では少ないフラボノール類とプロアントシアニジンも生産している。 |
背景・ねらい | 植物の天然色素は、食品産業等で広く利用されており、近年は色素の持つ機能性についての関心も高まっている。しかし色素原料のほとんどは輸入に頼っており、価格や製品の品質の安定性が低い。視力改善効果などの機能性が知られているブルーベリーのアントシアニン色素の効率的な生産を目標として、アントシアニン色素の高生産株の確立と生産色素の分析を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1.葉組織より誘導したカルスから赤色の細胞群を分離・選抜し、生育速度が早く、果実と同程度のアントシアニン色素を生産する細胞株を確立した(表1)。ブルーベリー果実は着色料の原料になることから、この培養細胞の色素生産量は特に高いと言える。 2.アントシアニンの成分は果実に含まれるものと同じであり、15成分以上を含む(図1)。これらはシアニジン、デルフィニジン、マルビジン、ペオニジン、ペツニジンの各アグリコンにグルコース、ガラクトース、アラビノースがそれぞれ1つ結合した3位配糖体である。培養細胞色素には、シアニジン配糖体(ピーク3, 5, 7 )が8割以上含まれている。 3.アントシアニン色素以外にもフラボノール類およびプロアントシアニジンを生産しており、フラボノール(図2)は主に3種類のクェルセチン配糖体(ピーク1, 3, 6)である。これらのフラボノイドは、ブルーベリーの紅葉や食品用の抗酸化剤として認可されているブルーベリー葉抽出物にも多く含まれている。 |
成果の活用面・留意点 | ブルーベリー培養細胞の色素は、アントシアニン色素の機能性検定試験用の標品、生合成研究用における合成酵素研究のための基質、医薬品原料としての利用が考えられる。ただし、培養細胞の色素を食品着色料として利用するには、新規の色素(製法、原料)扱いとなるため新たに認可を受ける必要がある。 |
図表1 | |
カテゴリ | 機能性 ブルーベリー |