耐塩性が強く茎葉が多収な稲発酵粗飼料用新品種「ソルトスター」

タイトル 耐塩性が強く茎葉が多収な稲発酵粗飼料用新品種「ソルトスター」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所
研究期間 2007~2014
研究担当者 竹内善信
小林伸哉
石井卓朗
山口誠之
平林秀介
黒木慎
後藤明俊
久野陽子
加藤浩
春原嘉弘
根本博
安東郁男
佐藤宏之
前田英郎
田中淳一
津田直人
常松浩史
池ヶ谷智仁
太田久稔
発行年度 2014
要約 「ソルトスター」は耐塩性が強く、塩害発生地域で利用できる茎葉多収の稲発酵粗飼料用系統である。「ソルトスター」は「リーフスター」と比較し出穂が6日遅く、黄熟期が9日遅い極晩生である。
キーワード 稲発酵粗飼料、茎葉多収、極晩生、耐塩性
背景・ねらい 震災で発生した津波の被害を受けた地域では、イネ栽培を再開できたにもかかわらず海水に含まれている塩によってイネの生育障害が発生している。そのためイネ栽培を再開するために、耐塩性が強い品種の育成が期待されている。また、津波被災地域では、乳牛用として子実よりも茎葉の割合の高い稲発酵粗飼料の品種が望まれている。そこで、耐塩性が強く、茎葉を主体とする稲発酵粗飼料用の品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「ソルトスター」はインド型品種「Nona Bokra」の優れた耐塩性を、稲発酵粗飼料用品種「たちすがた」に導入している。「ソルトスター」の耐塩性は"極強~強"で、幼苗期における耐塩性は"強"である(表1、写真1)。また、石巻市現地圃場において「ソルトスター」の葉に含まれるNa+濃度が「リーフスター」より低い(図1)。
  2. 「ソルトスター」の早晩性は出穂期が育成地で「リーフスター」より6日遅く、黄熟期が9日遅く、"極晩生"に属する粳種である(表1)。石巻市では出穂期が「リーフスター」より9日遅い。
  3. 「ソルトスター」は稈長が128cmと極長稈であり、耐倒伏性は「リーフスター」より弱い"中"である(表1)。
  4. 「ソルトスター」は地上部乾物収量が「リーフスター」に比べて育成地で15%程度多く、石巻で55%多い(表1)。
  5. 「ソルトスター」は消化されやすい茎葉の割合が高く、稲発酵粗飼料に適する(表1)。
  6. 「ソルトスター」は粗玄米収量が48.9kg/aと「リーフスター」に比べて70%程度多く、玄米千粒重は27.2gで、大粒でやや細長い粒形をしている(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 東北中部以南の地域に適している。今後、400ha以上の被災水田の復旧にともない、塩害の発生する水田が増加すると考えられている。「ソルトスター」の導入により、津波被災地域のイネ栽培の再開を促進できる。2015年は石巻市で数haの導入が見込まれている。
  2. 耐倒伏性が十分でないため、多肥は避け、刈り遅れに注意する。
  3. 白葉枯病に弱いので、常発地帯では作付しない。
  4. いもち病真性抵抗性Pibを持つと推定され葉いもち圃場抵抗性が不明であるので、侵害菌の発生に注意するとともに、発生が見られた時は防除を徹底する。
  5. 東北中部地域では籾(玄米)収量が低く、大粒であるので種子の生産性が低い。
図表1 237014-1.jpg
図表2 237014-2.jpg
図表3 237014-3.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/nics/2014/nics14_s10.html
カテゴリ 病害虫 いもち病 飼料用作物 新品種 水田 抵抗性 乳牛 品種 防除

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