硝子率が低く精麦品質が優れる早生・多収の裸麦品種「ハルヒメボシ」

タイトル 硝子率が低く精麦品質が優れる早生・多収の裸麦品種「ハルヒメボシ」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 1994~2014
研究担当者 吉岡藤治
高橋飛鳥
柳沢貴司
長嶺敬
高山敏之
土井芳憲
松中仁
藤田雅也
土門英司
杉浦誠
伊藤昌光
発行年度 2014
要約 六条裸麦品種「ハルヒメボシ」は早生で穂が長く多収である。倒伏に強く成熟期以降の中折れも発生しにくい。従来品種よりも硝子粒の割合(硝子率)が低い。原麦および精麦白度が高く、味噌加工適性を有する。
キーワード ハダカムギ、耐倒伏性、多収、硝子率、精麦品質
背景・ねらい 裸麦は需要に対する生産量が少ない、いわゆるミスマッチが問題となっていることから、生産拡大・安定供給が求められている。一方で用途に応じた高品質な原料が求められており、生産者の収益性を確保するためには品質ランク区分の基準値をクリアすることが必要である。近年、精麦用大麦における同区分の評価項目の内、硝子率の上昇が全国的に問題となっており、産地からは低硝子率品種の育成要望が強い。そこで、安定生産が見込める生育特性を有し、硝子率が低く高品質な裸麦品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「ハルヒメボシ」は、「四R系1350(後のマンネンボシ)」を母とし、「四R系1311」と「四R系1324」のF1を父として人工交配し、派生系統育種法で育成した六条裸麦である。
  2. 秋播性はIVで、出穂期・成熟期は「イチバンボシ」「ヒノデハダカ」と同程度であり、「マンネンボシ」よりそれぞれ2~3日早い早生種である(表1)。
  3. 「ヒノデハダカ」よりもオオムギ縞萎縮病の被害程度が明らかに少なく、耐倒伏性が強く、成熟期以降の稈の中折れも発生しにくい。穂発芽耐性は「イチバンボシ」「ヒノデハダカ」並で「マンネンボシ」より強い(表1)。
  4. 穂数は少ないが、穂長が長く(表1)、「イチバンボシ」「マンネンボシ」と同程度以上の収量性であり、「ヒノデハダカ」より多収である(表2)。
  5. 原麦白度が高く、硝子率が従来品種より低い。60%搗精時間は「イチバンボシ」「マンネンボシ」よりやや長いが「ヒノデハダカ」より短い。精麦白度が非常に高く、砕粒率が低く、精麦品質が優れる(表2)。
  6. 麦麹の酵素力価は従来品種と同程度で「ヒノデハダカ」に近く、糖化力と白度が高い(表3)。熟成過程の味噌の明度や硬度(図1)および成分変動は従来品種と同等であり、同程度の味噌加工適性を有すると判断される。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:裸麦生産者、大麦加工事業者等
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:愛媛県内に1,600ha。加えて、硝子率の上昇が問題となっている、温暖地の裸麦・大麦生産地への普及が見込まれる。これにより全国の裸麦作付面積の30%以上を占めることが見込まれる。
  3. その他:愛媛県において「ヒノデハダカ」と「マンネンボシ」の一部に替えて普及するため2013年10月に奨励品種に採用された。徐々に「マンネンボシ」代替としての作付けを増やし、数年後には全面切り替えの予定である。
図表1 237274-1.jpg
図表2 237274-2.jpg
図表3 237274-3.jpg
図表4 237274-4.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2014/14_006.html
カテゴリ 育種 萎縮病 大麦 加工 加工適性 硝子粒 生産拡大 はだか麦 品種

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