製パン性に優れ、多収のパン用小麦新品種「せときらら」

タイトル 製パン性に優れ、多収のパン用小麦新品種「せときらら」
担当機関 (国)農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター
研究期間 2006~2015
研究担当者 高田兼則
谷中美貴子
石川直幸
池田達哉
船附稚子
発行年度 2015
要約 小麦「せときらら」は、製パン性に優れ、多収である。日本めん用小麦品種「ふくほのか」に製パン性が向上する高分子量グルテニン遺伝子Glu-D1d、低分子量グルテニン遺伝子Glu-B3h、硬質性遺伝子Pinb-D1cを導入した準同質遺伝子系統である。
キーワード コムギ、パン、多収、準同質遺伝子系統
背景・ねらい 水田の有効活用を図るため日本めん用小麦に加えて、実需者や消費者からの要望があるパン・中華めん用小麦の作付拡大が求められている。温暖地・暖地ではパン用小麦品種「ニシノカオリ」や「ミナミノカオリ」が栽培されているが、「ニシノカオリ」はパン用の輸入小麦銘柄に比べて製パン性が劣り、また日本めん用小麦品種に比べて収量が低い。「ミナミノカオリ」は製パン性が向上したが輸入小麦には及ばない。栽培上では赤かび病や穂発芽耐性が弱いという問題がある。 そこで、日本めん用小麦並の栽培性と「ミナミノカオリ」以上の製パン性をもつ温暖地・暖地に適した小麦品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「せときらら」は、多収の日本めん用小麦「ふくほのか」にDNAマーカー選抜と戻し交配によって、グルテンの強さに関わるGlu-D1d、グルテンの伸展性に関わるGlu-B3hおよび硬質性に関わるPinb-D1cの3遺伝子を導入して、選抜・育成したパン用小麦品種である。
  2. 穂数は「ニシノカオリ」と同程度で、穂長は長く、多収である(表1)。
  3. 穂発芽性や赤さび病抵抗性は「ニシノカオリ」と同程度である。赤かび病抵抗性は同程度だが、山口県の発病程度ではやや強い。うどんこ病には弱い(表1)。
  4. 千粒重は「ニシノカオリ」と同程度、容積重はやや高く、外観品質は優れる(表1)。
  5. 製粉歩留とミリングスコアは「ニシノカオリ」より高く製粉性に優れる(表1)。
  6. 蛋白質含有率やファリノグラムの吸水率は「ニシノカオリ」より低いが、小麦粉生地の強さの指標のバロリメーターバリュウは同程度である(表1)。
  7. 中種法による製パン試験では、パン比容積やパン評価点が高く、製パン性は「ミナミノカオリ」よりも優れる。山口県産では「ニシノカオリ」よりも優れる(表2、図1)。
  8. アミロース含有率はやや低く、アミログラムの最高粘度が高く、ブレークダウンが大きいやや低アミロース小麦である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 普及対象:温暖地・暖地の小麦生産者など
  2. 普及予定地域・普及予定面積:2013年度に山口県で奨励品種に採用され、2016年産作付見込みは926haである。山口県の小麦栽培面積は「せときらら」導入後40%増加している。岡山県、兵庫県、佐賀県でも産地品種銘柄として登録されており、京都府で奨励品種に採用に向けて原種生産を開始している。
  3. その他:多収のため蛋白質含有率が低くなる場合があるので、品質ランク区分の基準値の蛋白質含有率を得られるように実肥施用を励行する。
図表1 237336-1.jpg
図表2 237336-2.jpg
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図表4 237336-4.jpg
図表5 237336-5.jpg
図表6 237336-6.jpg
研究内容 http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/warc/2015/15_010.html
カテゴリ うどんこ病 小麦 新品種 水田 DNAマーカー 抵抗性 品種

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